【インドの繊維工場の過酷な実態を美しく捉えるドキュメンタリー映画】「人間機械」を上田映劇で見たよ
不快で、美しい。(予告編キャッチコピー)
どうしても見たくて長野県上田市の上田映劇まで見に行きましたが、個人的に大当たり映画でした。DVDとか出たら買うレベル。
※現在はレンタルや配信もされています。
基本情報
●ドキュメンタリー映画 71分 2016年
●監督:ラーフル・ジャイン(インド人:デビュー作)
●インド北西部のグジャラート州の巨大な繊維工場が舞台
インドの巨大な繊維工場の中…劣悪な環境で過酷な労働に従事する人々を、忠実に捉えているドキュメンタリー映画。
登場する人々の短いインタビューはありますが、この問題に関わる具体的で無駄な説明は一切ありません。強いメッセージワードや、何らかしらの「答え」もありません。説明がないゆえに「インドの繊維産業の実態」に興味を持ち、引き込まれ、知りたくなります。そういった意味では「成功」ではないでしょうか。
引き込まれる理由は、「圧倒的な映像美」です。
油や汚れで暗く澱んだ工場建屋内…おそらく実際には不快な気温・湿度や匂い・機械の轟音で、まともではいられないであろう環境の中で、ひときわ輝くプレーンな白い生地、カラフルにプリントされていくテキスタイル、そして働く人々の肉体と純粋な目の美しいコントラストに「はっ」とさせられます。
「目を背けたい」のか、「もっと見ていたい」のか混乱する映画です。
音についても、インダストリアルミュージック大好物の自分としては大満足でした。
感想
この映画を見ながら、「この状況に対して自分は何ができるか」と考えていました。
「インド産の生地(服)の不買?」…そうすると働く彼らの職が減り、生きていけなくなります。「インド産の生地(服)をたくさん買う?」…たくさん売れても彼らの給料は上がらなさそうです、なんなら仕事が増える分もっと労働条件が厳しくなるかもしれません。
「うわぁ…これ詰んでね?」と思っていたら、映画終盤のシーンで、労働者たちがカメラを囲み、「取材はいいが…お前は何をしてくれるんだ?…力があるならこの状況を変えてくれないか。」と詰め寄ります。もし自分がそこにいたら「す…すいませんっ!な…何もできませ~んっ!( ノД`)」と逃げ出してしまうでしょう。繊維工場はそこ1か所だけではなく、インド全土にもっとたくさんあるのですから…。
その労働者たちの目力(めぢから)が忘れられません。(トップのイラストはそれ)怒り、いら立ち、悲哀、不安、疲労…いろいろなものを含んだその表情と訴えかける視線は、どんな名優でも演技できないでしょう。
「人間機械」公式サイト
予告編
トラウマポイント
・いわゆる「スプラッター」的な残酷シーンはありませんが、それ以上に生きる環境が残酷です。
・この劣悪な工場から出る劣悪なゴミを漁るストリート・チルドレンが出てきます。スクールカーストなんて生ぬるい、マジカーストを垣間見ることができます。
長野県上田市「上田映劇」で見た
この「人間機械」は前から見たいと思っていましたが、なぜかすっかり忘れていて、上映期間が終わっていました。でもどうしても見たい!と思い、東京から新幹線で約1時間半の長野県上田市にある映画館まで行ってきました。上映していた「上田映劇」さん、初めてですがすごく歴史を感じる良い映画館でした。
(自慢っぽくなってたらすいませんm(__)m でも映画館で映画見るのはひさしぶりで、シン・ゴジラ以来です)
上田映劇ホームページ
で、映画関係ないですが、この映画館の周辺が「袋町」というディープスポットで、ちょっと路地マニアには見逃せません。台湾みたい?な細い路地裏にスナック等がひしめきあっています。
↓いやあ、これはインパクトあります。バー「どん底」、行ってみたい。
映画を見終わった後は、噂のレトロ喫茶店「故郷」でゆっくりとコーヒーを。(¥300でコーヒー2杯、ソース卵焼き、梅こぶ茶、ゆで卵が来た!)
長野県上田市にお越しの際は、上田映劇で映画鑑賞後、袋町散策をおすすめします。
(なんか旅行ブログみたいになっちゃった…)
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