【ホラー映画】舞台設定は面白い!韓国タイ合作ホラー「女神の継承」ネタバレありレビューとタイの本物の除霊動画を探してみたので少し紹介してみる!
2022年7月は見たい映画が目白押しでした!
遅くなりましたがその第4弾『女神の継承』を観てきましたので少しネタバレありで簡単にレビューします。
※トップ画はイメージ。
過去記事は以下より。
第1弾:哭悲
第2弾:X
第3弾:セルビアンフィルム
先に結論を言う
いつもは最後に発表している個人的最終ジャッジ(以下5段階)を今回は先に発表しちゃいます。
- 1.円盤買って何度も観るべし!
- 2.映画館で観るべし!
- 3.レンタルされたら見てみよう
- 4.見放題で配信されたら見てみよう
- 5.見なくてよし
ドゥルルルルルルルルル……
デン!
3.レンタルされたら見てみよう
一言で言うとタイが舞台の悪魔祓い系映画。
舞台は新しいがホラーではよくあるプロット。ほどほどの怖さはありますが特に新しい驚きはなく、R18+にするほどのエグい表現もなかったと思います。が、タイ土着のピー(精霊)信仰をベースにした古い文化が現代にどう根付いているかを捉えたドキュメンタリー感がリアルっぽくて良かったのでこの評価です。
ちなみにタイの人に聞いてみましたが、ピーは日本の付喪神的なものではなく普通の幽霊やお化けみたいな意味で認識されていることが多いそう。田舎の暗い夜道や交通事故現場はピーが出そうで怖い、とおっしゃってました。
基本情報
まずは基本情報を。
- タイ東北部が舞台の悪魔祓い系映画
- 2021年製作、韓国・タイ合作映画
- 原案・プロデュース:ナ・ホンジン
- 監督・脚本:バンジョン・ピサンタナクーン
- 主演:ナリルヤ・グルモンコルペチ
- 原題:The Medium
- R18+
映画全体はモキュメンタリーで構成されています。
モキュメンタリーとは、フィクションをドキュメンタリーのように見せる表現手法。最近では「野良人間」とか「最強殺し屋伝説国岡」などがそうでしたね。
ちなみに原題のMediumは「お肉の焼き加減はミディアムで」のミディアムですが、霊媒という意味があるそうです。
あらすじ
タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族
美しき後継者を襲う不可解な現象の数々…
小さな村で暮らす若く美しい女性ミンが、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返す。途方に暮れた母親は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。もしやミンは一族の新たな後継者として選ばれて憑依され、その影響でもがき苦しんでいるのではないかー。やがてニムはミンを救うために祈祷を行うが、彼女に取り憑いている何者かの正体は、ニムの想像をはるかに超えるほど強大な存在だった……。引用:映画『女神の継承』公式サイト
祈祷師(シャーマン)のニムおばさんの一族は、代々「バヤン」という女神霊?を憑依させて村人の体の不調を治したり、困りごとを解決したりしていました。何でも解決できるわけではなく基本は精霊要因のトラブルのみ対応するそうで、「ガン患者が来たら医者を紹介するよ」なんて言っていた部分はリアリティあって良かったです。
プロデューサー/監督
原案・プロデュースは韓国の映画監督・脚本家のナ・ホンジンさん。
映画「哭声(コクソン)」が有名で、まさにこれの続編として作られたのがこの女神の継承であるとのこと。ただし憑りついた悪霊を祓うというコンセプトは同じですが、哭声は韓国が舞台で物語的にはまったくつながりはありません。
女神の継承は特殊メイク丸出しのいかにもな悪魔(悪霊)ビジュアルがない点で評価できますが、比べるとやはりドラマとしては哭声の方が面白いです。
監督・脚本は、タイのバンジョン・ピサンタナクーンさん。
「愛しのゴースト」や「心霊写真」などタイでヒット作品をリリースしている監督さん。タイ映画というとアクションのイメージがありましたが本作にそのようなタイ臭さはなく、逆に韓国や日本のホラーっぽさが垣間見え、なんか「日本人向けに味を調整した街中華」的なある意味見やすい仕上がりになっていて少し寂しさを感じます。
でも、もうこれのスピンオフ作品の制作が決まっているそうです。
公式サイト/予告編
公式サイトと予告編です。
面白かったポイント
総合評価はアレなんですが、いろいろ面白いポイント(&ツッコミポイント)はあったので感想書いておきます。
※以降ネタバレありで書きますのでご注意ください。
子どもを全力で叩いたーー!
行動がおかしくなりはじめたミンさん、言動が急に子供っぽくなってキッズスペースで遊びだします。滑り台を滑った後、なぜか急にキレて隣の子どもを力いっぱいバーンって殴ります。子どもは壁におもいっきり激突して泣きだしますが、ああいうのドキっとしますね。変な殺人シーンより怖いです。
女子トイレ覗くなーー!
急に気分が悪くなってトイレに駆け込むミンさん。撮影クルーが心配して追いかけるのですが、トイレのドアの隙間から中を撮影しちゃいます。それはダメでしょ!
お兄ちゃん関係ねーー!
ミンさんにはバイクで事故死したお兄さんがいました。実はこの兄とミンさんは兄妹を越えた関係にあったようで、最初の見立てではこのお兄さんの霊がミン不調の原因だと診断されました。けっこう長い間祈ったり祓ったりしてましたが、結局お兄ちゃんは無関係だったのが「序盤に出てくる犯人っぽいやつは真犯人ではないセオリー」がきちんと押さえられていて面白いです。
タイの悪霊こわーー!
西洋の悪魔は憑りついた本人の肉体を傷つけたり、まわりの人を攻撃したりとフィジカル迷惑が中心ですが、タイの悪霊はメンタル面も攻めてくるのがいやらしくて怖いです。
みんなが信仰する女神バヤンの像をこっそり壊すのもいやらしいですが、一番は知られたくない過去を知られたくない人の前で暴露しちゃうのヤバすぎです。過去にミンのお母さんが女神継ぐのが嫌でズルしたことをニムおばさんの前でばらしちゃって「うわー」ってなります。
しっこしたーー!
若くて美人のミンさんが憑りつかれて豹変していく様がこの作品の見どころなのですが、後半家の中に監視カメラを設置しその奇行を捉えようとします。このころミンさんには動物霊みたいなものが憑いていて、真夜中に冷蔵庫の生肉を貪っている姿がカメラに収められたりしてました。最終的にはテーブルの上で放尿しちゃいますが、一部マニアさん達の歓喜の声が聞こえた気がします。こういうのを体当たり演技と言いますね。
儀式の直前ニム逝ったーー!
ミンさんに憑いた悪霊を追い祓う最終儀式の直前、準主人公のニムおばさんが家で死んでいるのが発見されますが、これは秀逸な展開。映画的には死の瞬間を恐怖を交えて描きがちですが、兆候も悲鳴もなく「ある朝突然死んでいた」はけっこうゾッとします。シャーマンとして強キャラだった人が突然こうなってしまうことで、ヤバさ倍増です。
母かよーー!
頭から布をかぶせられ儀式の中心であれこれ祓われていたのが、ミンさんではなく母親だったのには観客全員最大の衝撃だったはずです。シュール系コントを見ているようで「なぜ母ーー!?」と叫びたくなるのを堪えるのが大変でした。人は予想外の出来事に混乱・恐怖します。
おまえのくだらないすりかえがこれを狙っていたのなら予想以上の効果をあげたぞッ!
警備があまーーい!
儀式が終わるまで絶対に出してはいけないのであれば、あの警備は甘々でしたね。というか「絶対出しちゃいけない」は「絶対出ちゃう」フラグで草ぼうぼうです。
やっぱり足の向き変ーー!
前項のも含め後半は「こうなるだろう」がそのとおりになることが多く、だんだん楽しくなってました。
凄腕祈祷師のオジサンが悪霊の入ったツボ持ってふらふら歩きだした時、「こいつ落ちちゃうだろうな」と考えていたらけっこうタメがあり、「おっ別パターンか?」と思わせるギリギリのところでやっぱり落ちちゃったので◎です。
で、落ちた祈祷師の状態をのぞき込むのですが、「足が変な方向に曲がっているのだけはやめてくれ!」と強く祈っていましたが……見事に、それはもう見事に足が曲がっていて密かにツボってました。
祈りの先に裏切りはないのか。
ごほうびだーー!
憑かれたミンさんがガーって襲ってくるのって、男性はちょっと嬉しいですよね?
実際のお祓い儀式動画を探してみた
下のメイキング動画にもあるとうり、儀式シーンは小物や音楽などすごく凝っていて本物感がありました。でも~?やっぱり本物がどんなものか見てみたいですよね!
YouTubeをいろいろ探してそれっぽいのを見つけたのでいくつかご紹介しておきます。
(音量注意)
これは祓う人か法衣を着ていたり、後ろに仏像があるのでピー信仰ではなく仏教系の儀式のようです。
タイ語はぜんぜんわからないので何言っているかわかりませんが、何か憑いているものをお祓いしているようには見えます(タイトルも「霊を祓う」と書いてあります)。あまり宗派は関係なくタイの人って憑かれやすいんですかね。
<すいません、YouTube動画なくなっちゃいました>
これは笑えるやつ。
つぎつぎにいろいろな神様?の被り物を患者に被せると、その神様が乗り移って患者が創作ダンスを踊りだすという謎の儀式。女神の継承でいうところの「いい加減なことして変なのが憑いたらどうすんの!プンプン!」系の儀式でしょうか。
これが映画と近い感じです。
ただ、この先生の動画はたくさんあり、体の不調の解消や別れた相手を呪うとかいろいろな目的があるようですが祈祷のシステムはみんな同じに見えます。
この動画は、別れた夫を取り戻すために別の女の幽霊を取り入れると書いてあります。魅力的な女性の霊を取り入れて振り向いてもらおうとしているのでしょうか、斬新なモテ施術です!
まとめ
まじめにまとめると、この映画には宗派に関わらず何らかの信仰心を持っている人に対して「それに意味はあるのかい?」とゆさぶりをかけてくる怖さが根底にあり、なかなか好きなテーマです。
ミンさんのお母さん(ニムおばさんの姉)は、女神バヤンを継ぐのが嫌でキリスト教に改宗しましたが、そのことに関係なく不幸は降りかかってきます。最後のニムおばさんのメッセージも象徴的です。
ただこのテーマを描くにしてはちょっと足りない部分もあり、少し残念です(無宗派が多い日本人にはさらにピンと来にくい)。
………
女神の継承は「極めて刺激の強い性愛描写がみられ、標記区分に指定します。」とのことでR18+判定を受けてますが、そんなに刺激が強いとは思われない点が実はホラー。
それよりも犬のシーンがヤバかったですね。
ミンママが犬肉屋で働いていたことも衝撃ですが、憑りつかれたミンさんが自宅の飼い犬を生きたまま○で○でて○○ちゃうのはヤバすぎて別の意味で怖かったです。
最近面白いサイト見つけました。
「Does the Dog Die?」というサイトで、犬などの動物が亡くなるシーンやその他ショックを受けそうなシーンがあるかを事前に知ることができます。英語サイトなので英語のタイトルを入れなければいけませんが、かなり項目は細分化され見た人のコメントも投稿できるようになっていて、「ホラーは見たいけど絶対このシーンが入っていたらヤダ」という方に便利なサイトです。映画だけでなくマンガやアニメ作品も対象のようです。
女神の継承:犬その他の動物の死のシーンありなしチェック結果/Does the Dog Die?
それではみなさん、dog meat festivalで画像検索はしないようにしてください。ごきげんよう。
おしまい