【実験アート映画】本物の動物の死骸がハイスピードで腐敗していくピーター・グリーナウェイ監督の謎映画「ZOO」!腐敗と難解ワードの海から死を克服する究極の対称性を見つけ出せ!(イミフ)
2022年2月10日より東京都美術館で「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」がはじまります。がっつり修復したら、何もない壁からキューピッドの絵が出てきて超ガッカリ!ってなったフェルメールの名作「窓辺で手紙を読む女」が来日するやつです。
で、フェルメールと聞いて思い浮かんだ、ピーター・グリーナウェイ監督の映画「ZOO」を今回ご紹介します。
基礎情報
基礎情報です。
- 1985年公開イギリス映画
- 原題:A Zed & Two Noughts
- 監督&脚本:ピーター・グリーナウェイ
- 音楽:マイケル・ナイマン
- 主演:ディーコン兄弟
- レイティングの記載なし
- オランダの動物園が舞台
ZOOってどんな映画?
単純なホラーやサスペンス映画ではなく、なかなか言い表しにくいのですが、アート映画という言い方がしっくりきます。飼育員とカワイイ動物たちとの心温まる感動物語的な要素は1mmもなく、本物の動物が腐敗していく様をタイムラプス撮影し作中で見せているという点が、他のどんなグロ映画よりもグロい、気合の入った変態実験ムービーです。
直接的な人体損壊や性愛シーンはありませんが、全裸が出がちなので、映倫のレイティングはPG12くらいでしょうか。レンタルだとボカシが大活躍でしたが、セル版は丸見え祭りです。
ピーター・グリーナウェイ監督とは?
1942年生まれのイギリス人男性。もともと画家になりたくて美術学校に通っていたこともあり、映画の中でもアート的モチーフが使われたり、美術のこだわりなどが特徴的です。なぜそうなったかはわかりませんが、ハードなエロティシズムとバイオレンスのエグみが強い作品が比較的多いウマコン監督です。
また、ほとんどの作品の音楽でマイケル・ナイマンとタッグを組んでいるのも特長。押井守監督と川井憲次さんタッグ、塚本晋也監督と石川忠さんタッグのようですね。ZOOのために作曲された「赤い帽子の女(Lady in the Red Hat)」は、料理の鉄人など日本のテレビ番組のBGMとして多く使われているので、聞いたことある方も多いでしょう。
あらすじ
…まぁ、これじゃわからないと思いますので、もう少し補足します。
双子の兄弟オリバーとオズワルドは、オランダのある動物園で動物学者として働いています。彼らの妻とその友人アルバが運転する車が事故に遭い、二人の妻は死亡。悲しみに暮れる兄弟は、妻の死を受け入れられず、生物の誕生と進化のドキュメンタリー映画を見る事に没頭し、なぜか食べ物や動物が腐敗する様をタイムラプス撮影することにハマっていくのでした。
兄弟は、事故で片足を失いつつも生き残ったアルバと接しているうちに、男女の関係となっていきました。やがてアルバは妊娠。果たして父親はどちらか!誰にも明かされなった兄弟の秘密とは!腐敗実験は完結するのか!
………
…という感じの、ちょっと他ではお目にかかれないクセの強いストーリーですが、これがなぜか一切感情移入できない仕上がりになっています。詳しくはポイントその2で解説します。
ポイントその1 腐敗芸術の世界
この映画のポイントを2点ピックアップします。
1点目は、本物の死骸を使った腐敗映像。これを知ってほしいためにこの映画を紹介した感じなので、他はどうでもいいです(暴言)。
りんご(Apple)からはじまり、エビ、エンゼルフィッシュ、ワニ、白鳥、ダルメシアン、そしてシマウマ(Zebra)などの本物の腐敗映像(タイムラプス)を拝むことができます。やっていることはグロテスクですが、見え方は超スピードですし、マイケル・ナイマンの軽快なBGMにより、そんなに嫌な感じはありません。むしろ「死とは何か」を意識させられるようなある意味神々しさを感じます。
※個人の感想です。
- アルファベットのAから始まってZまでという流れ
- だんだん大型化してく点
- 進化の順番な点
- 主に白黒の動物が選ばれている点
など、明確な意図をもって選定されており、「たまたま死体が手に入ったから」というものではなさそうです。シマウマの死体なんて超手に入りにくいと思いますが、どうやったんでしょうね。
映画後半でオリバー&オズワルド兄弟は、ゴリラをラプスるために射殺し、さすがにやりすぎということで動物園をクビになってしまいました。それでも二人はあきらめない!(笑)
………
動物や人間の腐敗(死)は芸術の最大のモチーフのひとつ。ちょっと脱線しますが、この映画以外で見ることができる作品を紹介しておきます。
A Little Death
映画監督であり写真家でもあるイギリス人女性、サム・テイラー=ジョンソンさんの2002年発表の映像作品。静物画のように美しく配置されたウサギの死骸がだんだん腐敗していく内容。これ以外にも動物はいない、果物のみバージョンもあり。
九相図
人の死体が朽ちていく様を9段階に分けて描いた仏教絵画。呪術廻戦の特級呪物(敵キャラ)として名前が出てきたので、聞いたことある方も多いでしょう。煩悩は肉体に宿る、ということで肉の不浄と無常を知ろうという目的の絵です。誰かの一作品ではなく、いろいろな時代のいろいろな国で九相図は描かれています。
あと九相図と言えば、人間椅子先生の曲「九相図のスキャット」。アルバム「頽廃芸術展」に収録されています。
あと、芸術ではありませんが、アメリカには通称「死体農場」と呼ばれる施設が8つほどあります。法医学に役立てるため、人間の死体を野ざらしにし、その腐敗過程を記録・観察する施設です。
いいですか、良い子は絶対“body farm”とか、“human decomposition facility”などの単語で画像検索などをしてはいけませんよ!!
ポイントその2 感情移入を完全シャットアウトする難解ワード
はじめに少し触れましたがこの映画、ラスト以外に心が動きにくい仕様になっています。心の盛り上がり度を普通の映画と比較すると、下記のようになります。
こうなってしまう理由は、役者のセリフが不自然で難解であることに尽きます。
いちおうストーリーはちゃんとあるのですが、何言っているのかよく分からないセリフが10回に8回くらい出てきます。何回か見たら意味がわかるとかのレベルではなく、何か前衛的な詩を聞かされてるような感じ、お笑いでいうとDr.ハインリッヒさんみたいな感じです。
役者さんの演技が下手というわけではありませんが、少し意味の通じないワードを入れるだけで、これだけ感情移入を置き去りにできるのは驚きです。
人によっては爆睡注意です。
よく衣装や美術にセンス爆発させたりするのと同じように、セリフもデザインしてみた!的な実験姿勢が2つ目のポイントです。良いか悪いかは横に置いておくとして、映画のラストはセリフに関係なく悪魔的盛り上がりを見せます。
ZOOの3つの柱
ここからは、ブルーレイの特典映像で監督が語っていた、この作品に込めた3つの柱(テーマ)について解説していきたいと思います。
その1 対称柱
1つ目の柱は、双子を軸とした対称性。
監督は、同じ価値観を持つ双子がどのような行動をとるのかを描きたかった、とおっしゃってましたが、画面の構図や物語の展開のいたるところに対称性(調和)が盛り込まれており、そのこだわりは狂気レベル。
主な対称ポイントをピックアップしてみます。
(以降ネタバレ有ります)
- 撮影シーンと上映シーンが交互に登場
- アルバの部屋の内装がしつこいくらいシンメトリー
- 白い動物と黒い動物
- 双子の容姿がだんだん近づいていく
- バランス優先でアルバの残った片足も切断
- 足のないアルバと手のないミロのビーナス
- 檻の中の動物と外に逃がした動物
- 生命の誕生・進化と死・腐敗
- ダーウィニズムと原理主義
- アルバが最後に選んだ男も両足なし
- 二人の妻の死で始まり二人の夫の死で終わる
などなど、相反する事象による均衡と、少しずれているものが変化していき調和することの2つの対称性で映画全体が構成されていると言ってもNO過言でしょう。
その2 動物柱
2つ目の柱は、動植物と人間との相互関係。
ダーウィンの進化論への興味を起点に、世の中を動物園と見立てて撮影したとのこと。動物だけではなく人間も含む社会という名の動物園がこの映画「ZOO」となります。そこには、「人間は他の動物と同じく単なる種のひとつであり特別な存在ではない」という捉え方が含まれており、C教などを信仰されている方はちょっと腹落ちしないかもしれません。
監督のコメントどおり、上のシーンのように人間が檻の中にいるように見えるシーンが何回かあります。
ちなみに撮影は、オランダで最も古い動物園の一つ、ロッテルダム動物園で行われました。
印象的な門柱が風格あります。
その3 光柱
3つ目の柱は、撮影技法としての光源の追求と実験。
朝日、夕日、月の光、ろうそく、車のヘッドライトなど、思いつく限りの光源を、撮影監督のサッシャ・ヴィエルニさんときゃっきゃしながらリストアップし、実際に撮影で使ったそうです。そのリストアップした光源の種類が26で、作中にはその26という数字がよく出てきます。
- アルファベット26番目がZOOの「Z」
- 事故った車のナンバーが NID-26-B/W
- アルバの発言「26人子供が欲しかった」
- オリバーが住んでたアパートの部屋番号が26
- 兄弟と医者の邂逅シーン「フェルメールは生涯作品数26※」とオズワルドが発言
※現在、現存数は35~37点と言われ、生涯作品数はもっと多い。
他にもあるかもしれません。みなさんも宝探し気分で探してみましょう。
登場人物を掘り下げてみる
動物園の醍醐味といえば、珍しい動物に出会えること。この映画「ZOO」の中にも、珍奇な行動をとる珍しい人間が登場します。主役の双子とアルバは除き、その他のクセが強いサブキャラクターを3人掘り下げてみたいと思います。
娼婦:ミロのビーナス
動物園の中で客を取る娼婦、ミロのビーナス。裁縫の仕事もしながら、話を作るのが好きで、いつか官能小話集を出版したいと思っている謎の女性。主要な人物たちと何かしらのつながりがあるハブキャラクターで、裏主人公的な存在。ビーナスという名の仕立て屋で働いているため、ミロのビーナスと呼ばれています。
いつも黒いスーツを着ている美しい女性ですが、複数の男性に「あなたの子どもできた」詐欺を仕掛けるしたたかさを持っています。その反面、妻をなくしたオリバー&オズワルド兄弟を慰めるやさしい一面もあり、なかなか捉えどころがありません。
最後のあたりで彼女の本当の目的がはっきり(?)します。
夜中、動物園の職員に鍵を不正に開けてもらい、裸足でシマウマの飼育エリアに消えていきます。そこから先は描かれていませんが、それまでの言動から察するに、命の危険を冒してシマウマと獣姦しにいったものと思われます。今でこそ性的マイノリティの方々が認められつつある社会になってきましたが、80年代当時はなかなか生きづらかったことでしょう。
彫刻のミロのヴィーナスは、ギリシャ神話の愛と美と性を司る女神アプロディーテの像だと言われています。その名のとうり、性愛に忠実なキャラクターとして捉えると最後の行動も理解できる気がします。
医師:ファン・メーヘレン(字幕だとメーグレン)
アルバの片足を切り取った画家志望(?)のオランダ人医師。獣医でもあり、動物園との関りもあります。実在する有名な贋作画家と同じ名前で、作中ではいとこがそのフェルメール贋作作家という設定。妻の名前をカタリーナ(フェルメールの妻の名前)に改名させるほどのフェルメールマニア。
彼は、フェルメールの絵と同じ空間を再現し、写真撮影するのが生きがい。
治療の一環だと適当なことを言い、作り込んだセットの中でアルバをコスプレさせて撮影します。それらの費用は、身体切断などの手術をそれ系のマニアに闇のショーとして見せることで捻出している模様。
やがて、両足切断して妊娠したアルバの姿に大変興奮し、「その子の父になりたい」と言い出します。その興奮は、本人の性的興奮+フェルメール絵画コスプレのモデルとして最高!の2面があります(フェルメールの絵に女性の足はほぼ描かれていないので、足のないアルバがモデルとして価値高ぇ!と思い込んでいる)。「手術にきた人をわざと殺して死体を提供するから、アルバの子の父親の権利をゆずってくれないか」とオリバー&オズワルドに持ちかけるほどの倫理観ゼロ変態ドクターです。
あれです、主人公よりキャラが濃すぎて存在感が出過ぎちゃう敵キャラみたいなやつ。この人も欲望のためには「タブー?なにそれおいしいの?」タイプの人。その欲望は、最高の作品を作りたい!という芸術欲です。
動物園職員:ヴァン・ホイテン
おそらく動物園職員であろう、いつも黒い服を着てる謎の初老の男、ヴァン・ホイテン。双子に動物の死体を売りつける守銭奴です。
レストランの食肉用ワニを動物園で死んだものだと嘘をついたり(正確には嘘をつかせた)、シマウマに至ってはわざわざ射殺して死体をつくるなど、この人も道徳心・倫理観が大幅に欠如。最後は、金さえ出せば人の死体も殺して用意すると言い出します。
なぜ金を得ようとしているかの理由ははっきり語られていません。が、双子からのみふんだくろうとしている点から2つの理由が推測できます。一つは、娼婦のミロが、ホイテンの要求は受け入れず双子には優しい、というシーンから見える双子への嫉妬心。
二つめは、科学への反発。ホイテンは、双子が何度も見ていた生物の進化ドキュメンタリーに対して(すなわちダーウィンの進化論について)、「くだらない作り話」と言い放っています。原理主義者でありながら、その信仰の効果がまったく見えない人格を描くという一流の皮肉、さすがグリーナウェイ監督さんやで。
またホイテンは、本作最大の名言を言う役割も担っています。
シマウマは、白地に黒のしま模様か、黒地に白のしま模様か
「どうでもいいけど、何かふっけぇ(深ぇ)!!」となりますが、よくよく考察してみると、性善説・性悪説どちらが正しいか、いやどちらも正しくなく両方の性質を持っているのが人間だ、みたいな哲学的メッセージが読み取れる気がします。
………
まとめると、性欲・芸術欲・金銭欲など、欲の深い人間が、見世物としての動物の価値があるということですね。これはこの映画だけの話ではなく、創作物・コンテンツ全般にあてはまりそうです。
ZOO看板がOOZになっている謎
動物園の入り口には、ZOOと書かれた青く光る象徴的なサイン看板があります。映画の中で2回、その看板が「OOZ」になっているシーンがあり、謎です。
ZOOという文字を裏から見るだけではOOZにならないので不思議でしたが、なんとなくこうかなぁという説があるので記載しておきます。
カメラ・オブスキュラ(camera obscura)というカメラの前身となる機械があり、外部の像が小さい穴を通じて暗い内部に投影される仕組みです。フェルメールは、これを使って下絵を書き、正確なパースの絵画を描いたのではと言われています。
この仕組みで映し出された画像は、人の眼球が網膜に像を映す仕組みと同じで、左右上下が反対になります。
その法則でZOOという文字を左右&上下反転するとOOZになります。
映画というものは、実像ではなく、あくまでもカメラのレンズを通して映し出されたモノなのですよ、ということを示してくれているのかもしれません。(なぜに?)
まとめ
腐敗映像がグロテスクなだけで、それ以外は美しい映像と音楽、知的で謎なワードセンスで構築された実験アート映画です。主題や解釈も見る人によって変わると思われ、好き嫌いも大いに分かれそうです。
………
この映画で感じた事をまとめます。
ZOOでは、映像や物語の中で対称性(シンメトリー)が追求されていますが、人がシンメトリーを美しいと感じる理由は生物学的本能で説明がつくそうです。繁殖相手が奇形などのない遺伝的健康体であるかどうかを判断できるよう、均整のとれた身体を好む本能です。
腐敗はその逆で、どんなに均整のとれた個体であってもどんどん崩れていって非対称になってしまいます。当然美しいものではなく、嫌悪感を誘発します。腐敗に嫌悪するのは、死を連想させるからではなく、非対称になってしまうこと=美しく感じなくなるという同じ本能からくる反応かもしれません。
双子が腐敗に憑りつかれた理由は、妻を失った悲しみからくる奇行ではなく、腐敗工程の中に対称性を見出そうとしていたのかもしれません。腐敗を美しいものとして捉えることができたのなら、死は悲しいものではなくなるからです。
しかも、その答えにはわりと早めに到達していた可能性があります。双子は、愛したアルバが死んだ時、もとの妻の事故死の時ほど悲嘆にくれていませんでした。
勝手な想像ですが、
究極の対称性は腐敗の先にある「無」
…という答えに到達し、死の恐怖を克服したのかもしれません。
映画のタイトルZOOは、一つの「Z」と二つの「O」と読むことができます。二つの「O」、オリバー(Oliver)とオズワルド(Oswald)が、無(Zero)に向かう物語と捉えると、超しっくりきてふるえます。
というわけで、私の個人的ウマコン映画ベスト10に入る作品、ZOOの紹介でした。
合わせて観たい・読みたい
ZOOと関連しそうなおすすめウマコン作品をご紹介します。
映画:コックと泥棒、その妻と愛人
「コックと泥棒、その妻と愛人(原題:The Cook, the Thief, His Wife & Her Lover)」は、ピーター・グリーナウェイ脚本・監督の1989年製作の激トラウマ作品。実はZOOよりこっちの方が一般的トラウマ度は高いです。
ヤクザの奥さんが危険を承知で不倫する物語。
よく映画の宣伝で「衝撃のラスト」って言葉を聞きますが、「衝撃のラスト映画」をランキングしたら、この映画が1位じゃないでしょうか。それ以外にも子供への拷問や、本を無理矢理食べさせるの刑など容赦ないバイオレンス描写と、あとあれです、腐ってヤバイ状態の食材がパンパンにつまったトラックにマッパで乗り込むシーンとか、もう、思い出しただけで吐きそうです。
内容のグロテスクさと比較して、映像と音楽の美しさは圧倒的であり、ZOOでの実験が十二分に活きている、グリーナウェイ監督渾身の代表作なので、ぜひ見てみましょう。2022年1月現在、U-NEXTで視聴できます。
漫画:天国に結ぶ戀
「天国に結ぶ戀」は、ガロで連載されていた大越孝太郎先生の未完の漫画作品。大正時代に生まれた男女の結合双生児、虹彦とのの子兄妹の波乱の人生を描く名作。1巻(1部)のみ発売されており、2部の途中で連載休止中。
先生の超絶画力によって、白黒なのに「のの子」の肌の白さがなぜか伝わってくる悪魔的芸術マンガ。大越先生の作品については、こちらのページで詳しく語りまくっているのでヒマな人はどうぞ。
漫画:半神
「半神」は、「ポーの一族」「11人いる!」でおなじみ、少女漫画家として初の紫綬褒章を受章した萩尾望都先生の短編作品。
結合双生児の姉妹が主人公。妹は知能の発達が遅れているが容姿は美しく、姉はその逆。無垢な妹は皆にかわいがられ、姉は妹の世話としつけをまかされる不満で不条理な毎日、しかも体はくっついているので逃げ出すこともできない苦悩──。
短編ながら、結合双生児の特殊な悲哀と心情をドラマチックに描いた不朽の名作。何度か舞台化されています。
曲:family/そこに鳴る
「そこに鳴る」は、大阪出身の超テク手数マニアスリーピースバンド。ゴリッゴリのスラッシュメタルサウンドに、繊細で幅の広い旋律をぶち込んでくる、密度の濃すぎる音が特長。
「family」は、2017年アルバム「METALIN」の収録曲。生きとし生けるものは、すべて家族であるということをテーマにした良い歌。
おしまい