【アメリカ映画】勧善懲悪オワコン宣言!「3 FROM HELL」が面白かったのでファイアフライ一家の家族構成を全力で掘り下げてみる!

【アメリカ映画】勧善懲悪オワコン宣言!「3 FROM HELL」が面白かったのでファイアフライ一家の家族構成を全力で掘り下げてみる!

いつもお世話になっております。ミシリー”BOTCH”岡田です。

今年はコロナでいろいろ大変でしたが、劇場へ足を運んだ数は意外と例年より多めでした。と言っても映画マニアさんではないので、少ないですけどね。で、11月に観た「3 FROM HELL(スリー・フロム・ヘル)」という殺戮大好きファミリーの血塗れロードムービーホラー作品が、今年イチ面白かったので、彼らの家族構成について、需要は全力で無視して掘り下げきってみたいと思います。

基本情報

殺戮一家三部作

The Firefly Family trilogy!
この映画は、ロブ・ゾンビ監督によるシリーズ3部作の3作品目です。3作とも、基本ファイアフライ一族という殺人鬼一家が人を殺しまくるホラー映画です。理不尽で不道徳で無慈悲で残酷しかないので、苦手な方は離脱ください。

あとネタバレはあります。

まず3作品の基本情報をまとめます。

  1作目 2作目 3作目
邦題 マーダー・ライド・ショー マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト スリー・フロム・ヘル
原題 HOUSE OF 1000 CORPSES THE DEVIL’S REJECTS 3 FROM HELL
レイティング R18+ R15+ R15+
時間 89分 109分 115分
公開 2003年 2005年 2019年
監督・脚本 ロブ・ゾンビ ロブ・ゾンビ ロブ・ゾンビ
製作費 $7,000,000 $7,000,000 $3,000,000
興行収入 $16,800,000 $21,900,000 $2,200,000
舞台 1977年アメリカテキサス州、ラグズビルという架空の田舎町 1作目から7か月後の設定 2作目から10年後、アメリカ→メキシコ
KILL COUNT 14 20 41
一言解説 ホラー愛溢れすぎる最恐アトラクション 殺人鬼に感情移入できる新感覚映画 血塗れロードムービー完結編

経緯を説明します。
10~11月にシッチェス映画祭ファンタスティックセレクション2020という企画があり、その中で面白そうな1本がこの「3 FROM HELL」でした。

ちなみに、シッチェス映画祭とは、正式名称「シッチェス・カタロニア国際映画祭」。毎年10月にスペインのシッチェスという場所で開催される、ファンタジーやSF、ホラー、アニメなどに特化したジャンル映画祭。日本映画では、過去に「リング」「座頭市(北野武監督)」がグランプリを受賞。

このシリーズにはついてはまったく知りませんでした。3部作の1作目と2作目がU-NEXTで配信されていたので鑑賞したところ、なかなかに面白かったので劇場に足を運んだ次第でございます。

ロブ・ゾンビ監督ってどんな人?

シリーズ3作品の監督が、ミュージシャンでもあるロブ・ゾンビ(Rob Zombie)さん。これも名前は聞いたことあったのですが、音はちゃんと聞いたことありませんでした。ホワイト・ゾンビというバンドから途中ロブ・ゾンビというソロ名義となり、ヘヴィロックの帝王とか書かれていましたが、どちらかというと世界観も含めてマリリン・マンソンさんに近いですね(マリリン・マンソンのギターさんがメンバーになっている)。

ホラー映画が大好きとのことで、曲づくりにもその感じが色濃くでているようです。自身のミュージックビデオを監督しているうちに、映画も撮っちゃたという多才な方です。

 


1作目:マーダーライドショー

あらすじ

ハロウィンの前日、アメリカの田舎をドライブしていた若者4人組は、給油のためガソリンスタンドに立ち寄る。そこには<マーダー・ライド・ショー>というB級アトラクションが併設されていた。そこのオーナー<キャプテン・スポールディング>から殺人鬼ドクター・サタン伝説を聞いた若者たちは、彼が実際に吊られたという木を見たいと大雨の中向かう。途中、美人ヒッチハイカーを乗せるが車がパンク、彼女の家に避難させてもらうが……果たして!

 


概要

これがロブ・ゾンビ監督の初映画作品。結局若者4人は雨宿りさせてもらった異常ファミリーによって大変な目にあう…というどこかで見たことがあるような定番ホラー展開。画面の色調を反転させたり、デデーン!という効果音など、古風なホラー演出と、まさにお化け屋敷のような展開(実際にロブ・ゾンビはユニバーサルスタジオハリウッドのお化け屋敷を設計した時にこの映画を考案したとのこと)に、初見はコメディー寄りの【トンデモ系ホラー】だこりゃ、という感想でした。それでも予算はかかっているので絵作りのB級感はありませんし、噛めば噛むほど味が出てきて好きになります。

 

感想

日本では、邦題の「マーダー・ライド・ショー」であったり、パッケージにもメインで出ているキャプテン・スポールディングを推していて、ジェイソンとかフレディみたいなわかりやすいホラーキャラクター定着作戦を狙ったようですが、失敗しています。演じるシド・ヘイグさんはとてもいい味出しているのですが、”怖がらせ役”としてほとんど活躍していません。

 

Sid Haig Portrait“Sid Haig Portrait” by Mark Berry – Photographer & Graphic Designer is licensed under CC BY-SA 2.0

怖がらせ役のメインは、個性豊かなファイアフライ一家の面々です。「キャプスポが主役じゃないの?」って不安になるくらい後半まったく出てきませんが、映画のラストのラストでキャプスポとファイアフライ一家につながりがあることが分かるのは秀逸な展開です。こういう「主役っぽい奴が実は主役じゃなかった」という裏切られも好きポイントの一つです。

 

印象に残ったシーン

殺戮大好きファミリーの暴虐物語、KILL COUNT(映画内の殺人数)も14とまあまあ多めですがその描写は意外と丁寧で好感が持てます。(?)印象に残ったKILLシーンは、ファイアフライさん宅に行方不明者を探しにした2人の保安官の若い方、ナイシュさん(Deputy Steve Naish)の最期。

ナイシュさんは監禁された行方不明者を発見した直後、背後からオーティス(悪魔の養子)に襲われますが、そこからは和やかなアメリカンカントリー曲が流れ、映像はスローモーションになります。同行したウィリスパパ(行方不明者の家族)はあっさり撃たれて死亡、ナイシュさんは銃を捨てさせられ、両手は頭の後ろ&ひざまづき、オーティスが銃口を額に押し当てたところで曲が終わります。そこから引きの絵で無音が26秒続きます! 

もう100%撃っちゃう流れなんですが、ぜんぜん動かないので観てる側は焦ります。「えっ?オーティス撃たないの?何で?撃つよね?…え?マジで撃たないの?…え?どっち?……ど…どうすんの?……!!やっぱ撃ちよったあああーー!!」となります。銃声に反応する鳥の鳴き声が遠くで響く静謐で印象的なシーンでしたが、その”タメ”は、オーティスの頭の中が「びびってる様が楽しい」もしくは「今は殺さず遊ぼうかな?」のどちらかであり、残酷極まりありません。

名言

ウサギの着ぐるみを着せられた若者が、拘束を振りほどいて逃げる時にオーティスのカットインが入ってこの台詞。

人間狩りなんて屁でもねぇ、みんな怯えたウサギみてぇに逃げるしかできねぇからな。逃げろ!ウサギ!逃げろ!逃げろ!

殺戮エリートオーティスくんの傲慢が過ぎる名言ですが、次の2作目で、逆にファイアフライ一家を追い詰める保安官に同じセリフを言われてしまいますw

 

Advertisement

2作目:デビルズリジェクト

あらすじ

あのハロウィーンの日から数カ月…ついにファイアフライ一家は警察からの総攻撃を喰らう。ママは逮捕されたが、オーティスと妹ベイビーはなんとか逃げ出し、父キャプテン・スポールディング(カッター)とモーテルで落ち合う。三人は、カッターの義弟であるチャーリーの経営する売春宿へ身を隠すが、保安官のワイデルは、1作目で殺された兄の復讐のため殺し屋を雇い一家を追い詰める…果たして!

 

概要

1作目マーダー・ライド・ショーの正統なる続編ですが、ドクターサタン、アール・ファイアフライ、おじいちゃんがいなくなる、ママとRJの役者変更、オーティスのアルビノ設定廃止などいろいろ状況が変わっています。前作の様な古風ホラー演出もなくなり、リアルなバイオレンスアクション風に仕上がっており、逆に一家が追い詰められる展開も含めて、1作目とはだいぶ違った印象を受けます。良い意味で。

 

感想

これも邦題が「マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト」となっており、日本盤パッケージにはキャプテン・スポールディングがデザインされていますが、あのガソリンスタンドのB級アトラクションは一切出てきませんし、なんならキャプスポ父さん一人も殺していません。残酷なシーンはありますがホラー色は弱め。正義の保安官の復讐劇なのに、なぜか殺戮一家に感情移入できてしまう新感覚が斬新。

★ネタバレ★

↓↓↓


ラスト、レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)のFreebirdという曲に乗せて、瀕死の三人が警官隊のバリケードにつっこんでいくシーンは涙腺崩壊必至案件です。どうせ助からないんだったら一人でも多く倒してやるという独自の覚悟の裏には、”死ぬなら家族三人一緒に”という家族愛も垣間見えます。特にオーティスとカッターは反発しあっていたので、スラムダンクの流川楓と桜木花道がはじめて連携して得点した時のような感動がそこにあります。

特攻はオーティスの意志で、そうすると娘ベイビーの死も必至ですが、それでも「オマエ達のやりたいようにやれ」という感じのカッターの血みどろスマイルに、養子でありながらもオーティスを尊重する父の寛大さを感じます。海外のサイトで読んだ話ですが、この特攻時にオーティスは一番大きい銃をカッターに渡しますが、これはカッターを一家の長と認めた意味らしいです。今回の騒動で隠匿先の確保や、拘束されたときに身を挺してベイビーを守ろうとした点、また前述の特攻認可も含めて、ようやく義父の愛に気づいたということでしょう。超泣けます。

 

印象に残ったシーンと名言

オーティスはモーテルで拘束したバンドマン2人(男)を連れ、昔隠した銃を掘り返しに行きました。隙を見て2人はオーティスに襲いかかりますが、あと一歩のところで反撃され絶体絶命となります。2人に銃を向けながら「お前たちの神に祈れ!俺様に天罰が下るようになっ!」とオーティス。瀕死の2人は必死に神に祈ります。すると急にオーティスはよろめき出し「…か…感じる…神よ!お許しください!」と改心したかに見えましたが、当然おふざけでした。血も涙もありません。絶望に打ちひしがれた2人を見下ろしてこの台詞。

俺は悪魔だ。悪魔の仕事をするためにここにいる。

そう言って躊躇なくとどめを刺すオーティスくん、え~と、悪魔が過ぎます

 

3作目:スリーフロムヘル

あらすじ

2作目のラストで激しい銃撃戦かましながら警官隊に突っ込んでいった三人、キャプテン・スポールディング、オーティス・ドリフトウッド、ベイビー・ファイアフライは、それぞれ20発以上の弾丸を打ち込まれたが奇跡的に(悪魔的に)生き残り、数年の回復期間と裁判を経て投獄。殺戮一家の残忍で衝撃的すぎる犯罪が明るみになり、世間は逆にヒーロー視したり開放運動が起こる。そんな中キャプテン・スポールディングには死刑が執行されたが、オーティスとベイビーは、オーティスの異母兄弟”フォクシー”コルトレーンの助けで脱獄、三人はメキシコへの逃避行を選択…果たして!

 

概要

前作から14年後に公開された3作目。男塾ばりの「生きていたのか富樫ーー!!」設定にちょっと無理はありますが、ファイアフライ一家の殺戮ショーをまた見ることができるのであれば、そんな違和感は指でつまんでGo To Heavenです。

本来は前作の3人が同じく大暴れするはずでしたが、スポールディング父さん役のシド・ヘイグさんが高齢&病気で出演が難しく(冒頭に少し出演しましたが映画公開の約2週間後に80歳でお亡くなりになりました)、新しくフォクシーくんが新メンバーとなりました。層の厚い一族です。こうなると、マーダー・ライド・ショー3では決してないし、スポールディング父さんのビジュアルも使えません。結局原題の「スリー・フロム・ヘル」がそのまま邦題になり、なんか流れ的に変な感じになっちゃいましたね。だから言ったのに!

シド・ヘイグさん不在のせいかこの3作目の評価は低いようですが、重厚さと存在感(+年齢)を増したベイビー・ファイアフライが、まさにジェダイの意志を継ぐレイのようにその魅力と才能を爆発させており、個人的には高評価です。

 

感想

確かに脱獄以降の展開は、2作目とまったく同じなのです。3人の血塗れロードムービー設定 → モーテルで一仕事 → 売春宿でパーリー → 一家に殺された人の肉親が復讐の牙をむく、というね。それでも個人的評価が高いのは、私の評価ポイントの比重が「予想が裏切られるコト」に対して高くなっていることに起因しています。ネタバレ含みますが、いくつか裏切られポイントあげます。

POINT.1 続編やるんかい!

2作目のデビルズ・リジェクトが良い終わり方だったし、残忍な殺戮一家の3作目なんて普通は需要ないんで、そもそも3作目やるんだというのが驚きです。ただし一部の人には胸熱です。

POINT.2 シド・ヘイグ出らんのかい!

主役が冒頭で死刑になっちゃうという斬新な展開がGOOD!

POINT.3 社会巻き込まへんのかい!

逮捕されたことで社会現象になったので、なんかそういうスケールの大きい展開になるかと見せかけて、いつもどうりの「手の届く範囲KILL」だったので、裏切られつつ安心と信頼感醸成って感じ。

POINT.4 アクションかい!

人はいっぱい死にますが、ホラー映画だと思って観てたら全然アクションだった件!

POINT.5 勝つんかい!

詳細は控えますが、ファイアフライチームが勝っちゃいます。極悪人が何の報いもなく、堂々と我を通しきっちゃって終わります。共感も教訓も生まない展開をやりきったロブ・ゾンビ監督グッジョブDEATH!

 

印象に残ったシーン

10年ぶりに脱獄してシャバに出たベイビーがオーティス達と合流します。人質を取られて脱獄に協力させられた看守ハーパーの奥さんは、全裸でしたが隙を見て家の外へ逃げ出し、それをベイビーが追いかけます。天気のいい高級住宅街で、明るい音楽を背景にスローモーションでベイビーが超楽しそうに追いかけるシーンは、海辺で恋人同士がやる「待て~アハハ~ウフフ~」さながらです。

1作目も2作目も、逃げる女性をベイビーが追うというシーンがあり、もうこれはお約束なのですが、こんなに楽しそうでキラッキラした殺意は、シリーズ最大の輝きを放っていて印象的でした。

 

名言

やっぱり3作目もオーティスです。収監されていてもまったくブレていませんでしたが、看守ハーパーに「ここ(刑務所)は私の工場でお前らは製品だ、おとなしくしとけ」的なことを言われます。で、いろいろあって立場が逆転し、オーティスがハーパーを撃つときのセリフ…

世界はオレ様の死の工場で、お前らは製品だ

「世界は~」の部分はThis is~と言ってますが、意味的には「この世の全てが」って感じだと思います。もっと分かりやすく訳すと

全ての人間はオレ様に殺されるために在る

って感じでしょうか。デカい…デカいよ!オーティス兄貴!

 

ちなみに劇場で、3フロムヘル企画ドリンクがありました。「ザクロ色(血みどろ)のカクテルで殺戮大好きファイアフライ一家とともに祝杯を──ヘイル・サタンレッドカクテル」というイカした(イカれた)、そして若干ネタバレ感のあるGOODな企画です。ええ、もちろん頂きましたとも。

 

ファイアフライ一家の家族構成

はい、ではここからが今回の本題です

とっても個性的で楽しい殺戮ファミリー「ファイアフライ一家」を全力で掘り下げます。まずは構成図どぞ。

The Firefly Family Family structure(クリックで拡大)

いや~中々に複雑です。海外のWikiにいろいろ書いてありましたが、それでも語られていないことも多く、どこかは違っているかもしれません。ちなみにドクター・サタンとチャーリーは親族ではありません。では、一人づつ紹介していきます。

 

【祖父】グランパ・ヒューゴ・ファイアフライ

グランパ・ヒューゴ・ ファイアフライ

下品度  ★★★★☆

1作目に登場した下品で元気なおじいちゃん。口に食べ物入っているのに「イッツ、ショーォターーイム!」て急に大声で叫び出すなどイカレています。ファイアフライ家スペシャルディナーショーでは、とびっきりのエロ漫談を披露し会場を爆笑の渦に巻き込みました。ちなみに劇中では一人も殺しておらず、2作目以降登場しません。

 

【母】マザー・ファイアフライ

マザー・ファイアフライ

家族思い度  ★★★★★

おそらくヒューゴじいちゃんの実の娘。窃盗・強盗・売春・殺人等で過去と名前がいろいろありますが、みんなの良きお母さん。クセがすごすぎる子供たち全員を愛し、面倒みています。2作目から役者さんが変わってしまいますが、逮捕されそうになった時、「ブタ警察に捕まるくらいだったら死ぬわ」って自身に引き金引くのカッコ良すぎDEATH。2作目で、復讐のワイデル保安官に刺されて死亡。

 

【前父】アール・ファイアフライ(教授)

教授

ヤベェ度  ★★★★★

1作目のラストにしか出てきませんが、こいつが一番ヤバイ! 謎の地下帝国で伝説の狂医師ドクター・サタンと人体実験をして究極の生物を作ろうとしています(?)。そこには原題でもある1000以上の死体や骨があるわけなのです。彼が登場した時、ドクターサタンが一瞬「あ、ども」って感じで礼をしたので、立場は上っぽいです。迷い込んできた若者に対して、問答無用で斧をブン回してくるヤバさに加えて、実の息子にガソリン焼きをかまして大やけどを負わすとか、もうめちゃくちゃ。最後崩落に巻き込まれますが、復活描写もあり生死不明。2作目以降は登場しません。

 

【父】キャプテン・スポールディング(カッター)

キャプテン・スポールディング

いい味度  ★★★★★

本名はジョニー・リー・ジョーンズであだ名はカッター。2作目で彼らを匿ったチャーリーは、カッターの養子の弟。一家と同居してないので、マザーとちゃんとした婚姻関係なのか疑問ですが、ベイビーは実の娘。TVCMを打ち、ガソリンスタンドとアトラクション経営をちゃんと考えているしっかり父さん。何人かは殺しているのでまあ普通ではありませんが、意外と劇中では殺人シーンは少なく、オーティス達の行為を注意するまとも人間スタンス。3作目、死刑により死亡。

引用:強盗が来て手を上げるカッター

マーダー・ライド・ショー ロブ・ゾンビ監督

 

【?】リトルウルフ

リトルウルフ

かわいい  ★★★☆☆

謎のビン漬け赤ちゃん。夕食時にオーティスが2階から連れてきてくれました。名前も付けられていて、マザーの可愛がりっぷりを見ると、家族であるっぽいです。特に何をするわけでもありませんが、一家の不気味さを最大限に引き上げる名子役。1作目のみ登場。

 

【長男?】ルーファス・T・ファイアフライ

RJ

無口度  ★★★★☆

ルーファス・ジュニアと呼ばれているため、アール父さんの実の子ではないと思われますが、おそらく長男的な立場。唯一、車のレッカー作業員っぽい表の職業に就いている感がありますが、一切喋らずに拉致殺戮遺棄に平然と加担してます。大雨の中、走行中の車のタイヤをパンクに見せかけつつ正確に打ち抜く射撃能力の持ち主。2作目で役者さんが変わり、冒頭で警察との銃撃戦にやられて死亡。

 

【次男?】タイニー・ファイアフライ

タイニー

見た目不気味だが優しみ  ★★★★☆

おそらくアール父さんとマザーの実子で、巨人症父親からガソリンかけられ燃やされて大やけどを負い、耳が聞こえない。監禁された若者の「逃がしてほしい」という懇願を聞いてあっさり拘束を解いちゃうなど、ちょっと知能にも障害がありそうに見えます。レザーフェイス属性がとても濃いのですが、動きは緩慢でチェーンソーも持っていません。2作目で、絶体絶命のベイビーを助けた後、なぜか燃えさかる我が家に入っていき死亡。

 

【養子】オーティス・B・ドリフトウッド

オーティス

悪魔度  ★★★★★

カッターが連れてきた養子。傲慢でイカレていて命をもてあそぶ胸糞殺戮エリート。ファイアフライ一家のエース的存在であることに執着しており、しばしばカッターと対立します。小さい頃親に虐待されて育ち、14歳で初めて殺人。一時期ドクターサタンのカルトに所属していたが、信者を殺して脱退したとのこと。ファイアフライやスポールディングなどの名は、彼が名付けました。3作目で、捕まった妹を助けようとするなど、家族思いの一面あり。

 

【妹】ベイビー・ファイアフライ

ベイビー

半ケツキュート  ★★★★★  

キャハハハーー!って甲高い声で笑いながら人を惨殺するキュートな妹キラー。7歳で同級生の目を自家製ナイフで刺してしまうなど、躁の行動障害持ちで、殺人衝動を抑えることができません。3作目では、手錠のままナイフ持ち2人に勝ったり、弓矢でヒットマンを仕留めるなど、高い武器スキル・戦闘能力を見せてくれます。演じるシェリ・ムーン・ゾンビは、ロブ・ゾンビ監督の奥さん。

 

【新キャラ】フォクシー・コルトレーン

フォクシー

シドヘイグ抜けの補完  ★★★☆☆

3作目で突如登場した、オーティスの異母兄弟。この人の詳しい背景はわかりませんが、オーティスと同じく躊躇なく人が殺せて、故人の遺灰までふざけて冒涜するひどい奴。キャプテン・スポールディングほどの存在感はなかなか発揮できていませんでしたが、オーティスとの「ウマが合っている感」は自然でイイ感じでした。オーティスが頭を吹っ飛ばした人の頭蓋骨の小さい破片がフォクシーの顔に刺さったのですが、銃殺あるあるって感じでまったく動じてないシーンが個人的ツボです。

3つの妄想と考察と感想

1.妄想:ファイアフライシステムとは?

トンデモホラー風の1作目ですが、あのガソリンスタンド、ファイアフライ家、地下帝国の3箇所は、実に巧妙に設計された殺戮システムであると妄想します。時系列に沿って説明しますが、ぜんぜん読み飛ばしてもらってOKです。

ドクター・サタンを救出したのはアール

アール・ファイアフライ(本名不明)は、「教授」という別名のとうり医師でしたが、<脳外科手術で超人を作りたい>というヤバい夢を持っていました。たまに訪れる精神病院で研修医S・クエンティン・クエール=ドクター・サタンを仲間に引き入れ、そこの患者を使って人体実験をしていたのです。結局ドクター・サタンだけが見つかり自警団によって吊られましたが、実験を続けたいアールによってひっそりと救出されました。

ドクター・サタンを運び込んだのがファイアフライ家

アールは、救出したサタンを近くの家に運び込みました。そここそがヒューゴじいちゃん、マザー、RJの3人が暮らすファイアフライ家であったのです。サタンは回復しましたが、もう病院には戻れません。アールとサタンは近所の地下廃坑を拠点とし、実験を続けることにしました(アールにはある程度の資産があったと思われる)。やがて交流のあったアールとマザーは夫婦となり、タイニーが生まれました。

タイニー放火事件の真相

アールとサタンの実験には、生きた人間が必要です。元売春婦でもあるマザーも加担し、あらゆる非合法な手段で人を拉致し、地下で実験を繰り返します。ある時幼いタイニーは、自宅で父と母の蛮行(拉致って抵抗する人間を殺す)を目撃してしまいました。それが強烈なトラウマとなり、自閉&地下室引きこもりとなってしまいます。

超人実験は、数多くの犠牲を伴いながらもいくつかの成功例を生んでいました。アールは、その脳外科手術を自身に施させます。<自身が人間を超えたモノになりたい>それがアールの真の目的でした。果たして手術は成功し、肉体は超人的な強化を得ましたが、精神面にいくつかの変化をもたらしました。そのうちの一つが、息子の引きこもりへの強制介入でした。

引用:アールの額に外科手術っぽい跡がある

マーダー・ライド・ショー ロブ・ゾンビ監督

狂気的な実験を続けていても、家庭は大事にしていたアール、引きこもった息子にも慎重な対応を取っていましたが、手術後、自分は超人になったのに息子が不完全であること(自閉&引きこもり)が猛烈にガマンできなくなり、例の事件が起きたのです。ただアールはこの時、タイニーを殺すつもりではなく、息子が引きこもる(依存する)地下室さえなくなればという思いでした。

ところが思った以上にタイニーの執着は強く、地下室を出ようとせず大やけどを負うこととなりました。結局タイニーの自閉と地下室依存はあまり改善しませんでしたが、後に家族となるオーティスやベイビーの助けで徐々に家の外に出られるようになりました。

アールは、自身の行為が手術の副作用であることに気づき、これ以降ほぼファイアフライ宅に姿を見せず、地下実験場にこもりっきりとなりました。また家族を傷付けてしまうことを恐れ、より完全な手術法を追及するための実験に没頭するためです。(はい、ここ泣くとこです)

カッターとオーティスの参入

まさに類友によって、マザーとカッターは出会い、意気投合、ベイビーが生まれます。当然一緒に暮らすことで、ドクター・サタンとアールの話を聞き、カッターも自身の趣味を兼ねて<検体集め>に加担します。カッターはオーティスを家族に迎え、殺戮(と強奪)を目的とした家族という前代未聞の共同体を構築します。カッターは自身を異端であると冷静に分析しており、安定してその趣味を継続させるには、同じ価値を共有できる仲間=より強い絆である家族が必要と感じていたのです。オーティスもその点は同意でしたが、しばしばリーダーの座や方針をめぐってカッターとモメることになります。

ドクター・サタンは、検体集めの目的で(おそらく名前を伏せて)カルト集団を運営していました。ですが、やはり手間がかかりすぎるのとオーティスがその中でモメ事を起こしたため、カルト運営は廃止、ファイアフライ家からの供給のみでまかなうこととしました。

ファイアフライシステム完成

アールと地下帝国には、資金があり、そこへ実験体=生死を問わない人間を提供することで、ファイアフライ家は報酬を得ていました。アール側は、手間をかけずに実験素材が手に入る、ファイアフライ側は死体+拷問済生体の処理と報酬GETという、WINWINの関係を構築できていたのです。

さらにカッターは、ドクター・サタン伝説を取り入れたB級アトラクション<マーダー・ライド・ショー>を建設、CMを打ち、全国からモノ好きな若者を集客するシステムを完成させました。「ドクター・サタンが実際に吊られた木がある」と誘導し、「行って見る」となったらすぐファイアフライ家に電話、ベイビーがヒッチハイク、RJが車をパンクさせるという手順で検体GETという流れです。

以上、妄想でした。

2.考察というか指摘:タイニーくんの謎

醜く恐ろしい風貌のタイニーくん、2作目のラストで謎をぶっこんできます。

絶体絶命のベイビーをワイデル保安官から救ったタイニー、放火された自宅からカッターとオーティスも助け出したのですが、車でこの場を離れようとする3人についていきません。オーティスが「残るのか?」と聞くと、彼はうなずきます。オーティスは「迎えに来る」と言って車を走らせますが、この後タイニーは燃えさかる自宅にゆっくり入っていきました。焼死したと思われますが、この一連のくだりが謎です。

前述の妄想でも書きましたが、タイニーにとって自宅地下室が自身の命にも勝る依存となっている……というかそういう設定でないと説明がつきません。オーティスもそれが分かっているので彼の意志(死んでも地下室へ行く!)を尊重した、ということでしょうか。そうすると「迎えに来る」がさらに謎です。英語では「We’ll come back for you」と言っています。タイニーの自死選択を認めた上で、「ほとぼりが冷めたら骨を拾いに来るよ」的な意味合いでしょうかね? 

ですが、このシーン最大の謎は、

耳が聞こえないはずのタイニーがなぜかオーティスと会話できている

点です。これないしょです。

3.感想:○○○○にも家族

個性豊かな殺戮大好き一家のキリングパーリームービー…ふつう容認できない内容ですが、この倫理レスなDEATH FAMILYになぜか感情移入できて単なる胸糞で終わらないのは、そこに

強い家族の絆

があるからです。一部反発する部分もありますが、同じ価値観で結ばれた家族の絆は、血が繋がっていなくともこれほどまでに強いんだ、ということを示してくれています。その強さは、殺人をしない普通の愛深き家族のそれとなんら違いはありません。またそれは、現代日本にちょっとない感じで、少し羨ましくもあります。

いろいろなものを捨て続けた外道が最後に残すものが家族愛、という哲学がロブ・ゾンビ監督の根底におそらくあり、この映画シリーズは、強い家族愛でどこまでの外道描写をカバーできるか、という実験映画だったのかもしれません。

オーティスほどの殺戮エリートが、一家におとなしく収まっているのがはじめちょっと違和感でした。ですがオーティスはきっと知ってしまったのでしょう

ごはんはみんなで食べる方がおいしい(※1)

ということを。

※1.「殺人や拷問はみんなでやった方が楽しい」という意味です。

まとめ

3フロムヘルで3人がメキシコ入りした時、ちょうど死者の日の祭りで盛り上がっていました。メキシコの死者の日は、先祖を弔う日本のお盆のようなものですが、仮装してパーティーするなど派手に楽しむ習慣であることが日本とはだいぶ違います。仮装は主に骸骨メイク(アイキャッチ画像参照)で、死者そのものを表しています。メキシコでは祖先の骸骨を身近に飾る習慣などがあり、また死に関する言葉や慣用句も多彩で、死は忌み嫌う恐怖の対象ではなく、より身近なものであるという感覚が古来から醸成されています。ここにファイアフライ一家の哲学(=死生観)の一端があると考えます。

(是非は置いといて)彼らにとって死は特別のことではなく、自然界で強者が弱者を捕食することと同じようにあたりまえ体操なのです。本能に従順とも言えますが、あえて「生きることにピュア」と言ってみます。1作目は、ちょうど時期がハロウィーンでした。ファイアフライ一家が、大人になっても子供のようにハロウィーンを全力で楽しむ様と、拉致った若者で楽しむ様は、まったく同じテンションです。

この映画は、「生と同じように死も楽しむ一族」というスーパーマイノリティをモチーフとし、楽しむためには仲間・家族との絆が大事であり、それの前では善悪など二の次…という価値観の映画です。ちょっと日本の同調社会では受け入れられ難いと思いますが、もしあなたがが受け入れて来られてきてたとしたら、絶対に受け入れられてたと思いますか?(byかまいたち)

ちなみにハロウィーンとメキシコ死者の日は時期が同じであり、1作目のオーティスがしていたメイクもメキシコのそれと酷似しており、そういう点(ハロウィーンではじまり死者の日で終わる)で筋が通っているのも個人的高評価です。

ファイアフライ一家あるある

それでは最後に、ファイアフライ一家あるあるでお別れしましょう。鬼滅の刃に乗っかって、「紅蓮華」に乗せてファイアフライ一家あるあるを言います。

 

ゾンビ~監督~の3部~作~

あ~るあ~るを~言いた~い~♪

 

泥だらけの1作目に酔う~マァダァライドショー

震える続編~デビルズリジェクト~それだけさ

夜の3作目~スリィフロムヘ~ル

ファイアフライの ある~ある~を 言うだけさ♪

 

ゾンビ~監督~の3部~作~

あ~るあ~るを~言いた~い~♪

 

どうしたって!

消せない「ある」も 止まれない「ある」も

誰かのために強く言いたいよ~

あるあるを 言いたいよ~♪

 

世界にあるある言いたい

どうしても言いたい♪

今から言うよ オーティスは~

顔の皮 はぎがち

 

おしまい

 

「あなたは今まで食べたシラスの数を覚えていますか?」


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

※個人の感想です。効果・評価には個人差があります。

※本当のトラウマで苦しまれている方々を軽視したり、蔑ろにするような意図は一切ありません。