【エログロ奇想漫画】ウマコン最終兵器!この天才っぷりをもっとみんなに伝えられるような語彙力が欲しすぎる!「大葬儀」駕籠真太郎/太田出版

【エログロ奇想漫画】ウマコン最終兵器!この天才っぷりをもっとみんなに伝えられるような語彙力が欲しすぎる!「大葬儀」駕籠真太郎/太田出版

 

奇想とは?

普通には思いつかない、変わった考え。奇抜な着想。

引用:小学館/デジタル大辞泉

そう、コレコレ。私がコンテンツに価値を感じる最大の要素の一つがコレ「奇想」です。普段の会話ではほぼ出てきませんが、わかりやすく言いかえると「斬新なアイデア」でしょうか。

ご紹介する【駕籠 真太郎(かごしんたろう)】先生の漫画には、

「奇想」しかありません!

短編や読み切りが多く、何巻も続くような長期連載ものはありませんが、どの作品も奇抜な視点・着想で、毎回ドゥフゥホアアアアッッ!!!っとさせられっぱなしで驚き、泣き、笑い、打ち震えまくります。(泣くことはないか…)

扱うテーマや絵柄にはグロ・エロ・ウンコなどが多く、そこだけを切り取って「不快、嫌い、有害だ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。いいですよ。そういう方は、一生汚いものから目を逸らして生きていけばいいじゃん! そこにすっごい価値があるのになああああ!! あーーーーもったいなーーーいっ!! !? 別にこっちは強要はしてないじゃん! なんで知らねぇくせにそっち側が正しいって言えんだ──(レフェリーストップ)

┌(”-д-)┐ハァハァ  スイマセン

鬼才…奇才…天才…どれでもあてはまる、アバンギャルドで奇想すぎる漫画家、駕籠 真太郎先生の2002年発売の単行本「大葬儀」を今回ご紹介します。駕籠先生の作品紹介が、このサイトをはじめようと思ったきっかけの一つでもありますよ。

 

大葬儀 基本情報

 

 

●作者:駕籠真太郎

●2002年7月初版発行 太田出版 186ページ

●季刊漫画雑誌「マンガ・エロティクス」「マンガ・エロティクスF」に書き下ろされた読み切り9本を収録

●表紙帯には「奇劇漫画家カゴシンタロウ粉骨砕身傑作短編集」とある

 

駕籠先生の作品は、この太田出版の「マンガ・エロティクス」という、ちょっと普通と違うエロ漫画雑誌(あんまりエロくない)で見たのが最初でした。けっこうメジャーな先生の読み切りが掲載されていましたが、毎号一番記憶に残る作品が、駕籠先生の作品でした。

圧倒的に面白かったのです。

毎回読み切りで、ギャグテイストでまとめられているパターンが多いのですが、「笑える!」って面白さではなく、その発想・着想の奇抜さで「すげぇ!」と感心しちゃう面白さなのです。駕籠先生の他の作品には、不条理系もありますが、この「大葬儀」は比較的ストーリー展開がしっかりしていて読みやすく、ギャグ系からホラー系、アート系まで幅広い駕籠ワールドを楽しむことができる、入門編としてはおススメの1殺です。もとい、1冊です。

 

■駕籠真太郎公式サイト

※閲覧は少し注意:性的・暴力等の反社会的な表現を含んでいます。

 

twitter @shintarokago

 

各話紹介

収録作品について、ネタバレしすぎない程度に紹介していきます。

傑作!表題作「大葬儀」

「マンガ・エロティクス」vol.1掲載

とある葬式参列者が、道に迷っているところから物語は始まる。

次々と葬式迷子が合流し4人、5人と増えていく。お坊さんも迷い、なぜか喪主の未亡人も迷っている始末。「結婚してひと月だからこの町に慣れていない…」という説明に一同怪しむ。逆に未亡人は一人の男を指摘する。「親戚でも友人関係でも、あなたは見おぼえがない!」と。そこにある疑惑が浮上する。

未亡人荒らし

「未亡人荒らし」とは、悲しみにくれる未亡人の心に近づき、夫の遺影の前での背徳的な性行為にハマっているマニア。そこへもう一人、自分も喪主の未亡人であるという迷子者が合流する。「未亡人が二人!?…どちらかがニセ者!」急に推理ドラマの様相を呈してきます。

未亡人荒らしを疑われた男は、あっさり自分がそうであることを認め、新たな燃料を投下…「聞いたことあるぞ…

葬式セックスマニア

の女のことを!」…やはり背徳的な性行為に魅せられて、未亡人荒らしのような男とするために、正式な未亡人そっくりに変装し葬式にまぎれこむ女、とのこと。

…もう、この攻防だけで濃いドラマが作れそうなのですが、ここからさらに新しい「奇想」が怒涛のように展開されます。

「生きているのか‼ 汚らわしい‼」

「この町は私のシマだって知ってるでしょ‼」

「北海道は苫小牧から空輸した新鮮な未亡人‼」

名言出まくりです。もうね、その発想力に叫ばざるを得ません。「天才かよォォォ!!」と。銀魂の「将軍かよおおお!!」ばりに。ラストまで1㎜のムダもなく、濃すぎる24ページ…頭皮および頭蓋骨ごと脱帽です。₍;┳д┳₎_ /━、ズルリッ‼

こちらのAmazonページの「なか見!検索」でこの大葬儀だけ無料で読めます。あ・ありがてぇっ・・・

 

性のコレクターガチンコバトル「大蒐集」

(「だいしゅうしゅう」と読みます)「マンガ・エロティクス」vol.2掲載

とあるマンションの一室で行われる、とあるコレクターの「会」の入会審査。空いている枠は1名。主人公はこの会への入会を目指します。その会とは……

独創性のある”性”コレクターの会

この会に入会できれば、思う存分自分のコレクションを披露、自慢でき、称賛されるのです。様々な入会希望者が、自分のコレクションを発表していきます。「バイブコレクション」「変態コレクション」「性の偏見コレクション」「コンプレックスコレクション」「性病コレクション」「性器の短所コレクション」などなど…。果たして、主人公のコレクションは幾多の強豪を退け、入会することができるのか!?

刺さったセリフは、

「それでは”偏見”のコレクションの一つが”性の偏見”なのであって  ”性の偏見”コレクションとは違うのではないですか?」

何か深(ふっけ)ェ!!(ちょっと前後を読まないと意味ワカンナイと思いますが…)

そして当然駕籠作品なので、審査結果がこの話のオチではありません。あなたならどんなラストを発想しますか?

 

勃起=死!極限の性サバイバル「大試練」

「マンガ・エロティクス」vol.3掲載

確かこの作品を最初に見たのです。初駕籠です。衝撃でした。

伊豆半島近辺の無人島で4年に1度行われるサバイバル試験……百名ほどの参加者(男)が食料等を持参し、ある極限の「試練」に耐えながら、約1カ月間生き抜かなければならない…その「試練」とは…

勃起してはいけない

参加者の股間には特殊な装置が取り付けられており、決して外れない。雁首に金属が取り付けられており、万が一勃起するとその金属が上部の信管に触れ爆発、死に至るという仕組み…強引に外そうとしても爆発してしまいます。

もうこの時点で頭オカシイ(笑)

なぜこんなリスクを負ってでも参加するのか? 正確には記述されていませんが、人生一発逆転的な相当なステータス・階級アップが約束されているようです。そして無人島には、参加者をふるい落とすための数々のトラップが! 仕掛けを踏むとエロ本がビョーンと飛び出す「エロ本トラップ」、リアルに抱きついてきて誘惑する強敵「プレイガール」など。

そしてこの試験には特例措置があり「試験期間内の一カ月に満たないうちに参加者が一人以下となった場合その者が合格」というルール。この試験では合法的に殺人もOKという設定なので、この特例を狙って参加者どうしが命を狙い合う、というのが最大のトラップ。果たして、と死の極限サバイバル環境の中で、最後の1名になるのはどの参加者か!?

こういう話を「ばかばかしい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。いいですよ。そういう方は一生ばかばかしくないものだけぇ見てればいいじゃんかよおお!!その硬い頭でてめぇの(鎮静剤IN)

「お前の大好きな紙おむつだよ!」

「バカなッ 何故それを」

に抱腹Z。

 

世界滅亡7日前の過ごし方「大終末」

「マンガ・エロティクス」vol.4掲載

世界滅亡まであと7日、何をすべきかを悩み、ばたつく男の話。おとなりさんのアドバイスで、「女を犯しまくる」ことに決めた主人公、誰をいつどう犯すか計画を立てます。果たして計画はうまくいくのか!?(うまくいかない)

この男の奥さんが「私なら いいわよ 犯しても」とか言ってくれるイイ人。計画を練る主人公にコーヒー淹れてくれたり、「それ以前にあなた勃起が持続するの?」とか的確なアドバイスをくれたりして、その関係性になごみます。

 

782階建てマンションなのも定説です「大酔狂」

「マンガ・エロティクス」2000年春掲載

高層マンション、夕食を準備して夫の帰宅を待つ妻。酔って帰ってきた夫は、一階上の714号室の田中さんだった!田中さんは、酔った勢いで自分の妻と勘違いして押し倒してしまいます。

一方その頃、714号室で夕飯の準備をしていた田中さんの奥さんのところへ、814号室の佐藤さんが酔って入ってきます。同じく押し倒されてしまいます。

このように、一階上の旦那さんが間違えて帰ってきて奥さんを押し倒す、というパターンが延々と繰り返され、マンションの上階へとシーンが展開されていきます。それぞれの夫の挙動および待っている妻の格好で、夫婦の性的嗜好が読み取れます。途中「定説」とか「カマキリ」とか「ダルマ」とか、いろいろな夫婦のカタチを見ることができます。

さて、ついにマンションは最上階の78214号室の玉西さん宅!どうなるっ!?

 

ほほえましき異常愛「紺野しぐれの幸福なる日々」

「マンガ・エロティクスF」2001年vol.11掲載

いじめられっ子の紺野しぐれちゃんに、めでたく彼氏ができました。ですが当然普通の彼氏ではありません。ちょっとゾッとするサイコパシー展開ですが、最後は……

紺野しぐれちゃんは、駕籠先生の他の作品に登場するキャラクターですが、それを知らなくてもぜんぜん楽しめます。

 

過敏肌はエロかった!「遠目塚先生の優雅な愉しみ」

「マンガ・エロティクスF」2001年vol.12掲載

この単行本の中で、一番エロい作品だと思います。

( *´艸`)

遠目塚先生は、蚊に刺された時の痒みを冬でも味わうために、小型の温室で蚊を飼育している程の痒みフェチ(触覚趣味人)。ある日、教え子の転校生:武藤さん(JK)から”ある会”への誘いを受けます。

過敏肌の会

そこには、さまざまな「痒み」を考案し、愉しむフェチ人が集っていました。

遠目塚先生と、武藤さんとのじくじく百合絡みが、もう…

(*´д`*)ハァハァ

(*´д`*)ハァハァ

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遠目塚先生

 

 

いや決して愉快ではない!「西川ちえりと愉快な仲間」

「マンガ・エロティクスF」2001年vol.13掲載

小さい頃に事故で手足をなくしてしまった「西川ちえりちゃん」は、盲目の兄と二人暮らしで、外の世界を知りません。陰毛が生えてきたことを兄に知られたくないため、お風呂に入ることを拒みます。

兄はとても妹思い。妹の異変の原因は、友達がいないことであると考えます。そこで同世代の少女「ゆり子ちゃん」をさらってきて、ちえりちゃんと同じように両手両足を切断してしまいます。

「幸いなことに  うちには自由になる  お金がある。その手の医者を  雇うこともできる。そこで君を  招待することに  したんだよ。 」

ちえりちゃんは、兄の勘違いで無理矢理ダルマにされてしまったゆり子ちゃんに負い目を感じます。はじめ悪態ばかりついていたゆり子ちゃんは、外の世界を何も知らないちえりに少しづつ優越感を持ち始める─────。

とても残酷な展開ですが、この二人の少女の一挙手一投足を見逃すことができません(手足ないけど)。文学的で繊細な二人の関係性の推移が、自然な子供同士の会話で綴られており、ラストの終わり方も含めて上質な映像作品を見ているような錯覚に陥ります。

これ名作じゃね?

 

美しき輪切り愛「DISC」

「マンガ・エロティクス」2001年冬掲載

断面フェチ

の医者が主人公。CTスキャン画像などを見るとスイッチが入り、人間を輪切りにし断面に触ながられ欲情を満たす、という「妄想」につい耽ってしまいます。愛する妻に「君の断面を見てみたいな…」とつぶやくも、当然それは叶わぬ願い。

ところがある日、電車の事故で妻が帰らぬ人に。遺体は、首の部分がきれいに切断された状態でした───。果して主人公のとった行動は……

この「DISC」には、ギャグ要素がまったくありません。この作品だけスクリーントーンも一切使われず、モノトーン表現で食材や人体の断面が美しく描かれています。フキダシも枠線と連結した直線のみで作られており、作品全体が一つのアート作品のようです。

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出典:大葬儀/駕籠真太郎/太田出版 ISBN4-87233-673-9 P171「DISC」

 

だいたいの「フェチ」は、お金をかければ見たり触れたりすることができますが、この「断面フェチ」はつらい。妄想するしかできません。そのシビアなフェティシズムへの苦悩とカタストロフィ、妄想と現実の境界の融解が、見事なビジュアルで表現されています。

決して一般紙に掲載されるようなテイストではないため、こういうのを「つまんない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。いいですよ。そういう方は一生普通の……(ベッド拘束)

…いやこれ名作じゃね?

 

装丁が秀逸

電子書籍版だと分かりづらいのですが、紙の本は装丁デザインがおしゃれ。全体的に葬式テイストでまとめられていて、静かで落ち着いた印象、本棚にあっても全然大丈夫。外から見たら、まさかこんなに濃い中身だとは思いません。知らずに読んだら、きっと「うわっ」てなります。「うわっ」て。

作者名の表記が「喪主 駕籠真太郎」となっているのもセンス良すぎ。また、帯のコピーも秀逸。

新鮮な未亡人あります

これは一瞬「!?」となって、次に「?」となって、思わず手にとってしまう! 装丁は、龐統ひろしさん。(2003年からは「ほうとうひろし」)

 

まとめ

基本的にはエログロ表現満載のため、苦手な人にとっては不快でしょう。ただしそのタッチは割とドライでカラッとしています。気温の高い夏日なのに湿度が低く、意外と過ごしやすかった日のようななエロさ。和牛なのにサシ控えめでわりとさっぱりいただけた、みたいなグロさがポイント。

単なるグロを目的としておらず、上質なブラックユーモアのセンスが根底に流れているため、エログロ初心者向けの入門編としても適しており、おススメです。そうですね、【世にも奇妙な物語のアダルト版】っていう表現が分かりやすいかもしれません。

 

駕籠先生は、漫画執筆だけでなく、同人誌制作、グッズ販売、映画祭主催など、多彩な活動をされています。その止まる所を知らない、そして他の追随を許さない「奇想力」による驚きは、何度読んでも薄れることなく、むしろ噛めば噛むほど味が出るような……中毒になるような……薬なしでトリップできるような……あーー何かうまくこの気持ちをビシッと言い表したいんですけど、いい言葉が見つかりません! でも、なんとなく分かりますよね?

分かって!お願い!(強引)

あと、今後も定期的に駕籠先生作品は紹介していきます。(好きだから)

 


絶対押すなっ!! (#゚Д゚)ノ押したらケツの穴からケツの穴ァ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!!

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※個人の感想です。

※本当のトラウマで苦しまれている方々を軽視したり、蔑ろにするような意図は一切ありません。