「趣味などのメジャー・マイナー志向調査2021」結果発表~マイナー派は全体の約35%~
自分は、なぜかメジャー作品スルー症候群を患っており、マイナーなモノが大好きです。そのような傾向・行動について、一般的には天邪鬼(あまのじゃく)などと言われたりしています。
音楽や映画やマンガやスポーツなど趣味嗜好の世界で、マイナー好き、マイナー志向、天邪鬼タイプみたいな人がどのくらいの割合いるのか…みたいな統計情報を探してみましたが見つかりませんでした。
ないなら自分でやってやる!
という理由で実施した調査結果を今回報告します。
調査概要
調査の概要です。
調査目的
マイナー派の割合を把握した上で、マイナー人間の傾向についての漠然とした仮説、
マイナー好きな奴なんて、きっと陰キャでトラウマ持ち(ソース:自分)
を検証してみることが目的でした。
調査方法
当サイト内にアンケートページを設置してましたが、あまり集まらなかったため、クラウドワークスでお小遣いをはたいて回答を募集しました。当サイトに訪問するような方は、ほとんどマイナー派で変態なはずなので(失礼な言い方)、一般的な傾向を知るためにクラウドワークスを利用したのは結果的に正解だったと思います。
- 調査方法:インターネットアンケート
- 調査期間:2021年6月
- 有効回答数:237
- 性別:男性88人、女性127人、ノンバイナリー3人、未回答19人
- 年代:不明( CW は18歳以上)
今回のアンケートの実際の設問と選択肢はこちらのページをご確認ください。
基本集計結果
7つの設問の基本集計結果を整理します。
Q1:あなたはメジャー派?それともマイナー派?
これが一番知りたかったことですが、予想どうりマイナー派の方が少ない(83/237人、約35%)という結果でした。ただ、意外と多かったという印象です。これは、オタク文化・同性愛・国際化・女性の社会進出などダイバーシティ(多様性)の理解と浸透が昔に比べて進み、好きなモノを好きでいられるという環境が整ってきたせいかもしれません。
Q2:そんな自分が好き?嫌い?
自身の志向に対して肯定的であるかという設問です。「マイナー好きだが、まわりに話できなくてつらい、隠したい」という意見をたまに見るので聞いてみましたが、おおむね肯定的のようですね(好き・肯定的が約61%)。
Q3:メジャーとマイナー×好きと嫌い
世の中には、ある一定数のアンチ民族というものが存在します。「○○が嫌い!」が先に来て、相対的に△△好き派に属してしまうという民族です。
そういう人たちの気持ちも汲み取ってみようという設問でしたが、大きな2つのグループ( メジャー組 [メジャー好き+マイナー嫌い] と マイナー組 [マイナー好き+メジャー嫌い] )がほぼ半々であることがとても興味深い結果でした。
Q4:あなたは陽キャ?それとも陰キャ?
メジャー・マイナー派比率と近くなる…という予想を裏切られる結果となりました。性格がクローズ傾向(一人が好き、人見知り、友達少なめ、恋愛に消極的…など)である人が約70%という結果です。
この原因は何でしょう? 外国人はオープンな人が多い印象なので、日本人特有のものですかね、それか社会不安等から来るものでしょうか、よくわかりません。
Q5:好きなものが売れたら冷めた経験ってある?
「メジャー嫌い」と近い現象になりますが、これはまた別の原理が働くようです。もともと好きだったバンド(やマンガなど)がとても有名になったら、急に好きじゃなくなった…という現象です。この経験が多い人は天邪鬼度が高い、と勝手に解釈していますが、経験ありが約34%(81人)というのは予想より少し多いと感じました。
Q6:生きづらい時期はあった?
生きづらい時期が多少でもあったという人は全体の約85%、多いですな!
生きづらい時期がほぼなかったという人(37人)と、人生のほとんどが生きづらかったという人(36人)がほぼ同数というのも興味深いです。マイナーなもの・変なものが好きな人は、生きづらさが影響していると考えていましたが、メジャー派にも生きづらさを感じている人がいるとなると、それほど関係ないかもしれません。
Q7:過去に強いストレスを受けたことある?
これもマイナー派の要因だと予想していましたが、強いストレス経験ありが約72%(172人)って、多いですな! これ解離性健忘(強いストレスで記憶がなくなること)も含めると、もっとスコアはアップしそうです。ストレスぃ~国、ニッポン!!(イミフ)
強いストレスを受けた時期についての結果が以下になります。20歳以上が一番多く約40%(97人)という結果ですが、見方によっては20歳以下が約60割ともとれます。
ちなみに複数回答可なので、下の数字の合計は有効回答総数より多くなっています。また、4つの時期すべてでストレスありと回答した人は8人いました。
クロス集計結果
Q1で聞いたメジャー・マイナー志向を基準にクロス集計した結果です。Q1で、どちらでもない・わからないと回答した分は除外しています。
Q1×2:マイナー志向の自己肯定感は?
メジャーまたはマイナーな志向である自分が好きか嫌いかを聞いたQ2とのクロス集計です。
マイナー好きの人の中には、まわりに共感しあえる仲間がいない…などという点を嘆き、自己に対して否定的である方=ネガティブマイナー族がいます(今回の結果では約2割:下グラフのブルー部分)。ですが、好きでもないものを好きと言いながら過ごす苦痛の方が精神と体に悪影響を及ぼすので、自信を持ってマイナー道を貫きましょう!
メジャー派の方が自己肯定人間が多いのは予想どうりでしたが、メジャー派である自分が嫌いという人が10人います。この心理は何でしょう?
メジャーなものを好きになってしまう=流行に乗せられやすい・まわりの意見に影響されやすいという性格を「主体性がない」と解釈して恥じている、とかでしょうか。
Q1×3:マイナー志向はメジャー嫌いが原因か?
メジャーマイナー×好き嫌いの価値観を聞いたQ3とのクロス集計です。「アンチ○○」という価値観が要因になっている人の割合がわかります。
「マイナーが嫌いだからメジャー派」は2人(1.6%)と少なく、「メジャー嫌いだからマイナー派」の方が22人(26.5%)と多くなっています。この22人が、天邪鬼度の高い人と言えると思われます。
メジャー派の中にメジャー嫌いが7人おり、この人たちは潜在天邪鬼と言えなくもないですが、宣言上はメジャー派なのでNO天邪鬼とします。今回の調査で総数237人のうち22人、全体の約9.2%が天邪鬼気質だということが分かりました。
Q1×4:マイナー志向は性格もダークか?
対人傾向(性格)がオープンかクローズかを聞いたQ4とのクロス集計です。
メジャー派でオープンな人が、マイナー派でオープンな人より多い(約3倍)のは予想どうりですが、メジャー派でもクローズ傾向の人がけっこう多い(メジャー派の約6割)のが意外でした。
マイナー派の約8割が陰キャという結果は予想どうりすぎて、ちょっと泣けます。
Q1×5:マイナー志向は天邪鬼度も強い?
売れたら冷める現象の経験ありなしを聞いたQ5とのクロス集計です。Q3の価値観調査と似ていますが、天邪鬼度を測る指標の一つになると思います。
好きなものが最初からメジャーであれば、それがさらに売れる・有名になるということにはなりにくいので、当然マイナー派の方がこの経験が多いというのは予想どうりですが、それほど差がない(約1.6倍)のは興味深いです。
今回の調査で経験の回数は聞いていませんが、複数回経験した人ほど天邪鬼度が高い人だと考えます。1回経験があったからイコール天邪鬼ということではありません。おそらく天邪鬼にも自覚タイプと無自覚タイプがあり、メジャー派に約28%も経験ありの人がいる点は、それが関与しているのではないかと思います。
この現象についてはいずれ深く掘り下げてみたいと思います。
Q1×6:マイナー志向は生きづらい人生を送ってきたか?
生きづらい時期ありなしを聞いたQ6とのクロス集計です。
基本集計の時点で分かりましたが、生きづらい時期ありの人は、メジャー派でも約8割と非常に多く、マイナー派の約9割と比較してあまり差がありません。
しかし、生きづらい時期の長さを積み上げてみると、約1.6倍の差があります(少しあり=1点、人生の半分=2点、人生のほとんど=4点で加点して集計:下表参照)。
生きづらい人生がマイナー志向に向かわせたのか、マイナー志向のせいで生きづらくなったのかはわかりませんが、マイナー派の方がメジャー派より約1.6倍生きづらい人生を歩んでいる、ということはわかりました。
Q1×7:マイナー志向はトラウマ経験が原因か?
強いストレス経験ありなしを聞いたQ7とのクロス集計です。ありなしだけを見たらマイナー派の方が多いですが、そこまで差はありません。
ストレスを受けた時期を、幼少期、小~中学、高校~20歳、20歳以上の4つの区分に分け、複数回答可で聞いています。それを積み上げで比較してみると、マイナー派の方が約1.3倍ストレスを受けているという結果でした(下表参照)。
これも正確な回数を聞いてませんし、解離性健忘のこともあるのではっきりとは言い切れませんが、マイナー派の方がストレス(トラウマ)経験が多いとだけは言えます。メジャー・マイナー志向が生まれつきのものなのか、育った環境やストレスなどの外部要因で形成されるものなのか、今回の調査だけではなんとも言えないので、もっと別の調査が必要ですね。
自由記入で以下のようなコメントがあったので3つ記載しておきます。
苦痛やストレスを受ける前後で趣味や好みのタイプが変わっているということはないので、辛い経験は自分のマイナー志向に影響していないと思います。(マイナー派・女性)
中学2年まではどちらかというと、メジャーなものが好きで、性格も明るかったですが、ある日いじめられている部員を庇ったら、次の日から自分もいじめまではいきませんが、あからさまに避けられました。その経験から自分はヒーロー的なメジャーなものではなく静かなイメージのあるマイナー志向になりました。(マイナー派・男性)
高校生くらいまでは明るく活発メジャー路線でいっっていたが大学生になり、友達もできずぼっち生活を送るようになり、ただ苦痛ではなく一人が心地よいことも知り自分は無理して今まで生活していたと気づく。そこから、マイナーまっしぐらです。(マイナー派・男性)
Q1×性別:マイナー志向に男女差はあるのか?
Q1と性別をクロス集計した結果が以下になります。今回の回答は、男性88人に対して女性127人と差があるので、性別軸でメジャー派・マイナー派の割合を表したのが、下記グラフになります。メジャーマイナーどちらでもない・わからないという人は除外しています。
マイナー派比率は若干男性の方が大きいですが、そんなに大きな違いはありません。女性の方がメジャー派多いと予想していましたが、メジャー・マイナー志向に男女差があまりないという結果は新発見でした。
自由記入より
自由記入欄でいろいろコメントいただきました。ありがとうございます。
一つ紹介します。
これは、マイナー派の人であればけっこう心当たりあるはず。みんなと違うことに喜びと価値を感じるポジティブマイナー族ですね(この反対は、周りと協調・共感できないことに自己嫌悪するネガティブマイナー族)。
このマイナー自慢、マイナーマウント、すなわち価値観の強要を行うと、たいてい失敗しますw
マイナーなバンドが好き過ぎて周りの友人に力説していたら、私がしつこかった為か、友人にキレられた経験がトラウマです。(マイナー派・女性)
でもこれは、逆でも同じ。メジャー派がメジャーなコンテンツでマウント取ってきて自慢してきたら、ムってなりますよね。
………
トラウマやストレス体験を書いてくれた方がいらっしゃいました。その中でよく出てくるキーワードは
- 毒親
- いじめ
- パワハラ
- コミュ下手(人見知り)
- 孤独
でした。中でも、いじめを含む学校においての対人コミュニケーションの話が多いです。やはり思春期の体験による人格醸成が、その後の人生に大きく影響しそうです。
で、これらストレス体験を書いてくれた方は、ほぼすべてがQ1でマイナー派と回答していました。
それを見ると、ストレス体験とマイナー志向には相関関係がありそうに思えますが、以下の方はメジャー派で自己は肯定的という回答した。
初めての妊娠と次の妊娠の2回流産しました。心音が確認できないと病院で言われた時、手術の前後、周りに出産の先を越されたこと、流産は自分のせいではと思ったこと…全てがトラウマになりました。(メジャー派・女性)
まとめ
主な結果を記載します。けっこういろいろわかりましたね。
マイナー派は全体の約35%
マイナー派の約2割が自己嫌悪
全体の約9.2%が天邪鬼気質
性格がオープンな人の割合、メジャー派がマイナー派の3倍
マイナー派の方が約1.6倍生きづらい
マイナー派の方が約1.3倍ストレス経験あり
男女でメジャー・マイナー比率にあまり差なし
いくつかの結果について、もっと深く分析・考察してみたいと思いましたが、また次の機会にします。そして一応まとめとして、今回の調査で再認識できたことを2つ述べておきます。
日本に生まれて良かったね
今回の回答者はほぼすべて日本人だと思いますが、国が変わるとたぶん結果は変わってくると思います。しかし、中には映画や音楽やマンガやアイドルやスポーツやグルメやアートや性的嗜好などを、まともに楽しめる環境にない国もたくさんあります。そういう国からしたら、志向においてメジャー派だマイナー派だ右だ左だの言えてる環境は、とても裕福で贅沢であり、恵まれていて羨望です。
約85%の人が生きづらい時期があったというこの国ですが、ボクらはすでに国ガチャでSSRを引けていることは自覚しても良いのではと思います。
好き嫌いシステムの恩恵
もっと言うと、人間を、好き嫌いという価値観が良し悪しと連動しない仕組みにしてくれた神サマ的なものに感謝です。
好き嫌いが、良し悪しに連動する世界を想像してみてください。……ぞっとしますね! ……いや……ぞっとしまくるな、コレ!! 今年イチ…いや人生イチ、どんなホラーとかよりぞっとしましたよ!!!
新しいコンテンツができても、より良い方だけが残り悪い方が消えるのです。すなわち各ジャンルにおいて、コンテンツが一つしか存在しない世界です。すごい傑作ができて誰もそれを超えるモノを作れなかったら、何百年たとうが同じコンテンツを楽しむしかない、とってもつまんない世界です。
この世は差でできていて、好き嫌いが人によって違うおかげで、一生かけても鑑賞しきれない小説やマンガや映画や音楽などが生まれ、多様な感動を味わえる世界になったのです。
これって、もう奇跡ですよね。
おしまい
※「この世は差でできている」は、大越孝太郎先生のマンガ「悪夢の森の満開の下」より。
※好き嫌いと良し悪しの違いについては、こちらの記事でまとめていますので、時間のある方はどうぞ。
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