【少年漫画】「進撃の巨人」を語りつくす!マリア編:巨人とゾンビが戦ったらどっちが勝つのか!?…というふざけた考察をしていたら巨人の体温の高い理由が分かったよ!
はじめの巨人
2021年4月、進撃の巨人は11年7カ月の連載を終え、無事完結となりました!
無理な引き延ばしもなく素晴らしい最終回を迎え、また途中も常に面白く、個人的にはここ10数年で一番面白い少年漫画だったと感じます。
トラウマシーンも盛りだくさんでしたが、それだけではない魅力と感動(=言いたいこと)があふれ過ぎて収集がつかなそうだったので、記事を以下の4つに分けます!
マリア編 (前編) |
まだ読んでいない人向けにネタバレなしで進撃の巨人の魅力をご紹介!(今回の記事)
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(中編) |
読んだ人向けにネタバレありで解説と感想を語りまくる!
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完結後に残る最大の謎を2回に分けて考察
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※マリア、ローゼ、シーナとは、作中で主人公達が暮らす世界を囲む三重の壁の名前。
なぜ、こんなに手厚く紹介するのかって? それは、面白い…からだろ?
基本情報の巨人
まだ読んでない人向けに紹介しますが、読んでない人…いますか?
おそらく進撃の巨人読んでない人は、マンガそのものを読まない人でしょうね。または、ダークな雰囲気やグロが苦手とか? または、話題になり過ぎて「メジャー作品スルー症候群」が発症しちゃったとか? 気持ちは分かります、分かりますが、いいから黙って全部オレに投資しろ!!(傲慢な発言)
面白さは保証します!
それでは基礎情報です。
●作者:諫山創 全34巻
●別冊少年マガジン連載(月刊誌) 2021年完結
●人間を捕食する「巨人」が存在する架空の世界が舞台
●母を巨人に捕食された主人公エレンが巨人駆逐を誓うダークファンタジー
●全世界でシリーズ累計1億部突破(2019年末)
●英題は「Attack on Titan」
●「このマンガがすごい!2011」ではオトコ編第1位
●アニメ・実写映画化、スピンオフなど様々なメディアミックス
漫画読んだことない人でも、きっと映画やアニメなどで一度は耳にしたことがあるかと思います。別冊少年マガジン創刊号から連載がスタート、早い段階から話題になり、単行本3巻発売時までに1・2巻累計で100万部突破するなど、人気を博しました。
最終回が掲載された別冊少年マガジン2021年5月号について、発売日に売り切れるという店舗が続出。私も3店舗巡って買えないという状態を体験し、驚きました。
あらすじ
人間を捕食する「巨人」が跋扈する世界で、人類は巨大な三重の壁を築き平穏に暮らしていた。突如、超大型の巨人が現れ100年間破られなかった壁が破壊され、壁内に巨人が侵入。エレン・イェーガーは、母を巨人に捕食され、巨人の駆逐を誓う。エレンは幼馴染のミカサ、アルミンとともに訓練兵となり、巨人と戦う術を学ぶ。果たしてエレン達は人類の平和を取り戻すことができるのか───。
いやぁもうオープニングから衝撃の展開です!
何なの?
巨人って!?
こっっわ!!
ってなっちゃいます!
そして朗報!
以下のマガポケサイトから13話まで無料で登録とかなしで読めるんで、まず読んでみて!!!
どうすか?
止まんないでしょ?
止まんなくてガマンできない人は、AmazonのKindleアプリを入れれば3巻まで無料で読めます!(6/1時点)
作者諫山 創(いさやま はじめ)先生は、1986年大分県生まれ、進撃の巨人が初の連載作品。以下は先生が登場するインタビュー動画です。
【BBC】「進撃の巨人」作者・諫山創さん単独インタビュー 諦めそうになった後(2:14)
ちなみに19歳で出版社へ持ち込んだ、進撃の巨人の原型となる作品が以下から読めます。こちらは、連載作を読破したあとに読んでみてください。「これがああなるのか!」と感慨もひとしおです。
9つの魅力巨人
超大型面白作品「進撃の巨人」の9つの魅力をネタバレなしで解説していきます。
現在公開可能な情報
進撃の巨人において「9」という数は大きな意味を持っているが、その詳細は記事が進むにつれて明らかになるであろう。たぶん。
1.巨人の巨人
巨人という敵の斬新さ
鬼、悪魔、ゾンビ、霊、ヴィラン…等々、人に害なす敵は様々あれど、この巨人という敵アイデアは斬新で秀逸でした。一部の例外を除き、基本的な特徴が以下になります。
・約3~15mの個体差がある
・男性っぽい体つきだが生殖器はない
・人間だけを襲い捕食する
・知能はなくコミュニケーション不可
・夜は活動が止まる
・頭部含め肉体を損傷しても再生する
・うなじ(縦1m幅10㎝)が弱点
これら設定が非常に良くできていて、いかに回避・対抗していくかの戦略がリアルで惹き込まれます。
特筆すべきはその造形! 人に近い形ですが、どこどなくデッサンが狂っているような感じのアンバランスさが、生物としての異質さと怖さに拍車をかけます↓
2.世界観の巨人
壁内国家という独特の世界観
人類は巨人から身を守るために、三重の巨大な壁の中で暮らしています。その壁の中は産業革命以前のヨーロッパのような文化様式で、政治と法と経済が機能しており、身分や格差環境なども細かく描かれています。
・内地に行くほど安全で快適=権力者が住む
・訓練兵の成績上位者は憲兵団(内地勤務)を志望できる
・壁の外側に興味を持つことは異端とされる
などの独自のルール・価値観があり、制度の矛盾や統制の窮屈さに翻弄される主人公達の辛き選択にも目が離せません。
3.謎の巨人
壮大な謎と答えに驚愕しまくり
・なぜ巨人は人を食べるのか?
・巨人はどこからやってくるのか?
・巨大な壁はどうやって作られたのか?
・壁の外はどうなっているのか?
・エレンの父が秘密にしていた地下室の謎とは?
もう冒頭から謎祭りです。壮大な巨人と世界の謎が、物語が進むにつれて徐々に明らかになっていきますが、同時に新たな謎がぶっ込まれるなど、衝撃と驚愕の連続でした。
連載中は様々な予想と考察が多く飛び交い、大いに盛り上がりました。最新号を読む前にネタバレ情報が目に入らないよう防御するのに苦労したものですw
4.シナリオの巨人
緻密に計算されたストーリー
張りめぐらされた伏線の数々とその回収の鮮やかさも、大いに盛り上がりましたね。連載開始時点でラストの展開まで決めていないと、あれらの伏線は張れないと思います。
11年以上の連載でしたが、あれだけ人気があっても引き延ばしや無駄な回は一切ありませんでした。描こうと思えばもっと描けたと思いますが、そうはせず、とても凝縮・洗練されたシナリオ…まごうことなき傑作ですね。
各話の中でもフラッシュフォワード(結果を先に見せる)などを使い、工夫された構成となっていて、一つ一つのシーンがとても印象に残ります。
初連載ということもあり、初めの頃は絵柄の粗さが目立ちましたが、それを補ってあまりありすぎる発想と物語の力がスゴいって話ですよ、奥さん! 『漫画は話である』ということを改めて認識させられます。
5.キャラクターの巨人
人類の勝利に心臓を捧げる若き戦士たち
主人公エレンの所属する調査兵団は、壁外を調査し、巨人と戦闘するリスク大の超ブラックな兵団。多くの個性的で魅力的なキャラクター達が、悩み、苦しみ、絶望しながら恐怖と巨人に立ち向かっていきます。
個人的に大好きなキャラクターを一人ご紹介します。
調査兵団分隊長:ミケ・ザカリアス 196㎝ 102kg
おヒゲがダンディーなエレン達の先輩。初対面の人の臭いを嗅ぎ「フッ」と笑う癖があります。
一見変な人ですが、その恐るべき嗅覚で、巨人の接近を察知できるという特殊能力あり。いざという時も、人類最強と呼ばれる「リヴァイ兵士長」に次ぐNo.2の実力者として、高い戦闘能力を発揮。
実戦時の勇敢さや冷静な判断力で、団長や部下達からの信頼が厚く、普段は寡黙ながらも時には熱い言葉で部下を励まします。
人は 戦うことをやめた時 初めて敗北する
ミケさんカッケーーーーーーッス!! これから読む方は、ぜひこのミケパイセンの活躍とギャップに注目してください!
6.対立の巨人
大人すぎる対立の複雑性が魂をゆさぶる
はじめこそ「人類VS巨人」というシンプルな構図なのですが、物語が進むにつれだんだん複雑になっていきます。基本的に人は、所属するコミュニティーやイデオロギーの違いで対立しますが、どちらにも正義があることが最大で永遠の問題。
複雑な関係性の中で、それぞれ視点によって描かれるドラマは、「悪いのはどっちだ?」と読み手の価値観をゆさぶります。安易に是非を判断させないその問題提起パワーが、作中キャラクターたちの葛藤や絶望と強くシンクロさせます。
ちょっと少年漫画らしからぬ、大人な展開であり、そこが魅力でもあると同時に、「後半よく分からなくなってきた…」と、一部読者が離れた要因にもなっています。
7.ジョークの巨人
なくてもいいけどちょっと面白い
シリアスな作品ですが、一部おふざけが入っています。有名なのは、各単行本の巻末に次巻の予告があるのですが、まったく本編とは関係ない嘘予告が入っていてなごみます。
タブーを乗り越えた二人の愛が世界に奇跡をもたらすwww
あとは、作中の擬音がけっこうふざけてます。例えば、あくびしたシーンで「ふあ」と書いてありますが、よーく見ると「あ」の下に小さく「みちき」と書いてあります。そう「ファミチキ」です。
その他にも「シドビシャス」とか「バスガスバクハツ」とか「カバディ」とか「パリピ」とか、けっこういろいろ言ってます。何か変な擬音がないか探してしまう、という新しい楽しみ方もあります。
ちなみに、ウチにある蔵書の中で、このような擬音で遊ぶ系のマンガとして一番古かったものは、1987年発行、藤原カムイ先生のチョコレートパニック3巻ACT⑦「お手を拝借」でした。
1話の中で、パンシロン→ボヘミアン→ピテカン→ヨドバシ→ビックカメラ→ビヒズスキン(菌)→ペヤング→(焼きそば)バゴーンときて、最後がこれ。天才。
引用:チョコレートパニック3巻P168/藤原カムイ/双葉社
8.残酷の巨人
容赦ない残酷描写に批判が出ない理由
巨人が人を捕食するシーン以外でも、けっこう残酷シーンが多いです。「言うても少年漫画やろ?」って感じでナメているとトラウマるかもしれません。
例えば、14巻で調査兵団の二ファという女性団員が銃で撃たれて死亡するシーンがありますが、頭の上半分をふっとばされるという、かなり無残な描写です。ここは2つの点で印象的でした。
1.巨人に食われようが、人に撃たれようが、死は等しく残酷でグロテスクであるという真理を直視させてくれる点
2.こういう死が、死としてリアルであることを伝えようしている点
乱暴な持論ですが、死の残酷性に蓋をして隠し続けたせいで、若者の自殺率が増加しているのではないでしょうか。(死の残酷性を認知していないので恐怖心が少なく、美しく死ねると勘違いしてしまう)
大ヒットした鬼滅の刃もけっこうな残酷シーンがありましたが、「残酷だから子供に悪影響!連載やめろ!」なんて批判は、昔にくらべて起きなかった気がします。コミックマスターJの10巻第2話「良識ある作品」のごとく、作品力が批判を上回った(ねじふせた)というのもあるでしょうし、日本人が読み手として成熟してきたというのもあるのでしょう。
世界は残酷だが美しい
このことは、子供に教えたいこと第1位ですが、同時に教えるの難しい第1位なのです。(ソースなし) これをマンガで教えることができるなんて、こんな楽なことはないのですよ、世のお父さん、お母さん。
9.テーマの巨人
先送りできない重きテーマ群を直視せよ
戦時中の日本のような、またはかの国のような、厳しい言論統制や軍国主義で理不尽な扱いを受ける民衆。現代でもなくならない格差、民族間紛争、迫害、差別と虐殺───。舞台はファンタジーですが、現実の世界に通じる様々な課題群が作中で取り上げられており、否応なく考えさせられます。
それらの課題に対して、私含めて大多数の人が「いつか誰かが解決してくれるだろう」とか「解決なんて絶対無理ゲー」なんて思ってます。よくテレビでコメンテーターが「これはこうすべきなんですよ!」ってただの正論を自慢げに吐いてますが、「こうすべきだと思ったんで私実行してみたんですよ」とはあまり聞いたことありません。
作中ではもちろんですが、登場人物たちが当事者としてそれらの課題に立ち向かい、選択・実行しています。その選択が正しいかどうかは誰にもわかりません。ですが、読み手も一緒になって悩み、真剣に向き合うことができる、もうマンガじゃなくて、良質な社会とか道徳の教科書だと思いますよ!
そうだ、学校の授業に「進撃の巨人」って科目作ったら良くないすか?
国語 算数
理科 巨人
って感じでね。
マジで。
…そして、行き着く先は 自由とは? 善悪とは? 人とは? なんて根本命題も考えさせられちゃいます。この辺のテーマで感じたことが色々ありすぎるので、それは次回の記事(ローゼ編)でまとめようと思います。
特別企画!巨人VSゾンビ!
はい! それでは進撃の巨人の魅力を理解していただいた上で、ここからが本題です。
巨人とゾンビが戦ったらどっちが勝つのか?
を真剣に考察してみたいと思います。
作品とまったく関係のない、クソの役にも立たないどうでもいい企画ですが、巨人という生き物の理解が捗るかも、と思ったのでやっちゃいますよ。
前提条件
いろいろな条件で勝敗は変わってくると思いますが、基本1対1で良い勝負になりそうな条件を考えます。
赤コーナー:巨人
無垢の巨人(通常種)3メートル級1体とします。基本的な特徴は前のブロックで説明したとうりです。人間でも複数で応戦したり、武器を駆使すれば勝てなくはない相手です。
青コーナー:ゾンビ(ウォーカー)
作品で能力が異なりますが、今回はこちらの記事でも紹介したアメリカの人気TVドラマ「ウォーキング・デッド(The Walking Dead)」の一般的なゾンビ1体(四肢健在)とします。特長としては、
・人間以上の力やスピードは出ない
・視覚・嗅覚・動きなどで生き物何でも襲う
・少しでも噛まれた人間は2~3日後に高熱で死に至る(死後転化=ゾンビ化する)
・頭部(脳幹?)を破壊されると活動停止
となります。序盤こそ恐ろしい存在でしたが、だんだん人間側は慣れてきて、1対1であれば武器による頭部破壊であっさり勝てちゃいます。恐ろしいのは「群れ」ですが、今回は1体です。
場所
ボクシングよりちょっと広めの10メートル四方のリングを屋外に設置。まわりには鉄柵を設置し、逃げたりできないようにします。レフェリー不在のルール無用時間無制限異種族マジデスマッチ一本勝負……開幕です!!!!
※レフェリーがなしの理由は、巨人がすぐ食べてしまうから。
ROUND 1
お互いをきちんと視認できる状態で死合開始となりますが、この開始時点がとても重要なポイントの一つとなります。
ゾンビは巨人を襲うのか?
ウォーキング・デッドのゾンビは、人間以外にも、生きている馬などの動物に襲い掛かりモグモグしていました。そういう意味では巨人は生きているので、基本的には襲いかかると思われます。
ゾンビは音に敏感なため、物陰に隠れて息をひそめればやり過ごすことはできますが、今回のリング上に巨人が隠れるスペースはありません。
また、ゾンビの視界に入ったとしても「臭いがゾンビ」であれば襲ってきません。ウォーキング・デッドの作中では、倒したゾンビの内臓などを体に塗りたくって群れの中を突破する「ゾンモツアウター作戦」が何度も登場します。ですが、巨人にはそのような知識や知能はないはずです。
ひとつだけ、開始直後に巨人が微動だにせず、ゾンビが巨人を物体として認識して襲わないのでは、という懸念がありました。しかし、視界に人間がいなくとも、徘徊・歩行している巨人の姿が作中で描写されています。なので、ピクリとも動かないという状態にはならないものと考えます。
以上のことから、ゾンビは巨人を襲う、となります。
巨人はゾンビを襲うのか?
巨人は生きている人間のみを捕食し、馬などの他の動物は襲いません。また、体を半分かじられて絶命した人間の死体は残っていたので、死体は食べないはずです。
また、巨人は消化器官がないため、たくさん人間を食べると、まとめて吐き出します。吐き出したものはそのまま放置されていたので、やはり死体は食べないものと判断して良いかと思います。
さて、ゾンビは「生ける死体」と呼ばれていますが、果たして生きているのか死んでいるのかどちらでしょう。この判断のためには「死の定義」が必要ですが、これは地域や文化、倫理的観点などから見解が分かれています。
とても難しい問題ですが、個人的見解として死は不可逆なものであり、ゾンビは「人としては死んでいる」と捉えます。呼吸停止、心拍停止、脳機能の停止という状態=死を一度経たのであれば、その後どうなろうと死者(死体)であるという認識です。
ウォーキング・デッドの中(シーズン1の第6話)では、ゾンビに噛まれて一度死を迎えた後、体内のゾンビウイルス的なものが徐々に活性化し、最短3分~最長8時間くらいで脳幹部分が再起動し、肉体が動き出すという説明があります。
この時脳幹や筋肉は、生物学的に活動している=生きている状態ですが、それを生かしている(強制的に活動させている)のは謎のゾンビウイルス的なものであり、人の意志ではありません。脳が死んでしまっても、外部から電気信号を与えることによって筋肉が動く、という現象に似た感じだと思います。
・巨人は死体を食べない
・ゾンビは謎ウイルスが動かしている死体
・巨人は人以外(たぶんウイルスも)襲わない
以上の3点から、巨人はゾンビを襲わない、と結論づけます。(2点目は個人的見解ですが)
なので、死合開始時点の展開はこうなります。
まず、巨人が歩き出すなどの動きを見せます。ただしそれは別にゾンビに向かっていくのではなく「ただ歩く」という状態です。ゾンビは、動いていて臭いも仲間ではない生き物を視界にとらえるので、当然襲い掛かります。ゾンビには恐怖心もないので、相手が熊だろうが巨人だろうが何にでも向かっていきます。
巨人は、ゾンビが襲ってきてもたぶん何も反応しません。「人を捕食する」という目的でしか行動しないので、攻撃に身構えるとか防御したりみたいなことはしません。ゾンビは死体なので、近づいてきても巨人は特に何もせず、あっさり噛みつかれてしまう、という展開になります。
巨人ピンチ!!!
ROUND 2
いきなり必殺技「ゾンビバイティング(噛みつき)」が成功してしまいますが、ここからも興味深い展開となります。
ゾンビに噛まれた巨人の反応は?
結論から言うと、反応するかもしれないがゾンビには何もしない、で行きます。
巨人の痛覚には個体差があり、心臓を槍で刺されて無反応の個体もあれば、目を刺されて痛がっている個体もありました。ここは難しいところですが、痛覚がある個体だったとしても、基本的には人を捕食するための行動しかしないので、ゾンビに攻撃するような行動(=人以外の物体に作用を与える行動)はしないと思います。
「なんか痛いなぁ、やだぁ」くらいは感じて、逃げるように移動する可能性はあります。走るスピードは巨人の方が速いので、ゾンビを振りほどいて走れば逃げ切れると思いますが、今回は四角いリングで逃走不可能です。
繰り返しになりますが、巨人は人以外には反応しないので、ゾンビを認識してリング内を逃げ回るという行動もとれません。
痛みを感じてちょっと移動しても、すぐゾンビに追いつかれて噛まれる、の繰り返しになります。
噛まれた巨人はどうなる?
ひと口噛まれた程度の傷は、あっと言う間に再生します。大砲で頭を吹っ飛ばしても1~2分で再生する、という説明がありましたが、噛み傷であればおそらくものの10数秒で完治してしまうでしょう。ゾンビがひと口肉を噛みちぎってモグモグしている間に再生してしまうので、巨人がまったく動かなかったとしても、ゾンビが巨人を食べつくすのは不可能なのです。
ここで一つ、巨人の再生能力は無限か有限か? という疑問が発生します。
これに関して作中で描写はされていませんが、答えは無限であると推測できます。巨人の再生能力(肉体)は、驚異的なスピードの細胞分裂的な物理現象ではなく、ある別の場所から「やってくる」というニュアンスが近いものになっています。ここを詳しく書くとネタバレになってしまうので省きますが、100年以上物理的なエネルギーを摂取せずとも活動できているという事実(正確には別の場所からエネルギーを摂取・受信し続けている?)(日光がエネルギー源という説もあり)を踏まえると、再生も無限であろうと思われます。
ゾンビにとって巨人は、永遠わんこそば状態、おかわり無制限の食べ放題肉祭り状態なのです。
巨人はゾンビ化するのか?
これも断定はできませんが、ゾンビ化しないで行きたいと思います。
全世界に空気感染で蔓延し、一度体内に入ったゾンビウイルスは、その人が自然死であっても転化(ゾンビ化)させます。ただし、これはヒトにだけ影響を及ぼすウイルスだと考えます。ウォーキング・デッドの中で、人間以外の動物がゾンビになった描写はありません。
巨人にゾンビウイルスが影響するかどうかは、巨人が人にどれだけ近いか、という点で考察できます。外観や生体(血・肉・骨があり器官もある)はとても人間に近いですが、根本的に違う部分がいくつもあります。
・エネルギーを必要としていない
・おそらく代謝も老化もしない
・性器がなく繁殖もしない
・痛覚が鈍いまたは無い
・ダメージがすぐにかつ無限に回復する
・体温が異様に高い
これらを見ると種どころか次元が違う生き物なので、馬や牛にゾンビウイルスが影響しないように、巨人にも影響しないと考えます。仮に影響したとして、免疫反応による身体のダメージ、体力消耗などは、瞬時にかつ無限に回復するので、具合も悪くならないし、死にも至りません。
ただし、免疫反応が起きるのかどうかは疑問です。あらゆるダメージを自己修復できるのであれば、免疫システムそのものが存在しない可能性があります。ゾンビウイルスが巨人に効くとして、かつ免疫機能が働かないとしたら、増殖しつづけて、巨人の存在を司り、急所でもある縦1m幅10㎝のうなじ部分が浸食もしくはコントロールされてゾンビ化する、という可能性がなきにしもあらずってヤツです。
もし、うなじ部分がウイルス浸食によって破壊された場合、巨人は死に至ります。
死後も人と巨人は大きく異なります。巨人はうなじ部分を破壊されて死ぬと、シューシューと音を立てて蒸発し、肉体がなくなってしまうのです。なので、ウイルスが巨人に死をもたらしても転化(ゾンビ化)する肉体がないのです。
なので、巨人ゾンビというものを作ろうとするなら、うなじ部分を破壊ではなく(死という工程を経ず)、生きたまま乗っ取り・コントロールする必要があります。宿主の脳に影響を及ぼし行動をコントロールする寄生虫などの例はいくつもあるので、なくはない話です。
ただし!
このケースは肉体が生きているので、正確にはゾンビと言えません。これを判断するにはゾンビの定義が必要ですが、「死を経ていないという点で死体ではない」この大前提によって、ゾンビとは呼べないことはお分かりいただけることでしょう。
ということで、未知の病原体等によって生きたままコントロールされてしまうという懸念点だけ残りますが、これに対する防衛策を巨人はすでに持っています。
そう、異様に高い体温です。
具体的な温度の説明はありませんが、「熱っつ!!」という熱々の肉まん触ったくらいのリアクションをしている描写があります。コンビニに置いてある中華まんスチーマーは、約73℃前後だそうです。もし巨人の体温がそのくらいであれば、たいていの病原菌は窯ゆでの刑で死滅します。巨人は、外傷にも内傷にも対策の取られた完璧な人類殺戮マシーンなのです。凄いですよね!
・ゾンビウイルスは人間にのみ指向性を持つ
・巨人の肉体はヒトと大きく異なるのでゾンビウイルスは作用しない
・仮に作用したとしても異常に高い体温で死滅する
以上の点から、巨人はゾンビ化しない、と結論づけます。
ここまでをまとめると、
1.動きだした巨人にゾンビが遅いかかる → 2.ゾンビが巨人に噛みつく → 3.巨人はゾンビを攻撃せずちょっと逃げる → 4.ゾンビ追いついてまた噛みつく → 5.巨人の傷は無限に再生するので繰り返し → 6.巨人はゾンビウイルスの影響は受けずゾンビ化しない
となってます。
これは引き分けか!?
ROUND 3
ゾンビは噛みつき続ける、巨人は再生し続けて反撃しない…この状態がずっと続き、泥沼感MAXとなってきました。しかし、ここである変化が訪れます。そうです、夜になって巨人の活動が止まってしまいました。果たして!?
夜を迎えた巨人の行動は?
これも巨人によって個体差はありますが、「動きが鈍くなる・止まる」状態になります。情報は少ないですが、おそらく立ったままではなく、普通に座り込んだり、横になると推測します。巨人が眠るという描写はありませんが、夜になると人間が近づいても襲ってきません。
ゾンビにとっては、動きが止まるということで、昼間より食べやすい状態になります。で、ここで疑問です。夜間も巨人は再生能力を発揮するのか? です。活動を停止する=再生もしないのでは、と思ってしまいますが、答えは「夜も再生する」で間違いないと思います。
人類は巨人を捕獲して様々な実験をしています。夜の再生能力という検証は当然行っているでしょうし、もし夜は再生しないなんて重大な弱点が見つかったならもっと作戦に取り入れているでしょう。
ゾンビは、食欲という本能だけが行動原理となっており、肉体は死んでいて休息を取る必要もないので、たぶん睡眠しません。夜通し巨人に噛り付いています。しかし、巨人は再生し続けるので、ゾンビはやはり食い尽くすことはできず、結局昼間の状況とほぼ変わりません。
ゾンビは満腹になるのか?
満腹中枢は人間の脳の視床下部にあり、ゾンビ化で再起動しない部位であるため、ゾンビは満腹感を得ることはできないと考えます。つまり目の前に生きた肉があれば、永遠に食べ続けるはずです。
では、食べ続けるとどうなるのか? これは、ゾンビ化した時の胃腸の損傷具合で少し状況が変わってきます。
もともと胃腸が食い破られているなど損傷しているゾンビの場合、肉に噛みついてモグモグし飲み込んでも、破れた胃などからボタボタこぼれていきます。
胃腸の損傷がないゾンビの場合、食べたモノは胃や腸に蓄積されていきます。しかし、人体としての機能は死んでいるので、消化や吸収はされません。どんどん貯まっていきます。胃が限界に達しそうな場合、生きている人間であれば吐き戻しますが、ゾンビはそういうリミットセーブ機能も満腹中枢も働かないため、限界を超えても食べ続けます。
結果、どこかの時点で胃が破裂し、体内に食べたものがあふれ出します。それでも食べ続けます!
こうなると、かなりお腹がパンパンに膨らみ、重量も重たくなるので、ゾンビの動きは鈍くなります。それでも食べ続けますので、最終的には腹膜も破裂し、内容物が一気に外へ放出されます。(かなりの地獄絵図になるかと…) そしてゾンビは「あれ?お腹が軽くなったぞ!まだまだぜんぜんイケるわ!」ってな感じで、継続率100%エンドレスモグモグ状態になります。
ただし!
巨人の血や肉片は、切り離されると蒸発してしまう描写がありますので、ゾンビが噛みちぎってモグモグして飲み込んでも、どんどん蒸発していってお腹に貯まらず、胃袋爆発は起きません。なので巨人の肉って「すごく食べた感あるけどカロリーゼロ」な究極のダイエット食になりそうですね!
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ちなみに、ゾンビが通常の人間を食す場合、食べている人間が失血死やショック死などで死んだら(※1)、そこで食べることを止めると思います。彼らは「生きている肉」しか食べないグルメさんなのです。死肉を食べないのであれば、五体満足なゾンビが増殖し続けることも、ゾンビ同士が共食いしないことも説明付きますね。
※1:正確には死んで肉の温度が下がったらと推測。
ここまでをまとめると、
7.夜になって巨人の動き止まる → 8.ゾンビは食べやすくなって食べ続ける(食べながらどんどん口から巨人肉は蒸発している) → 9.巨人は夜でも再生し続ける → 10.朝になり巨人動き出す → 1.に戻る
これはもう引き分けでしょう…?
ROUND 4
この段階では引き分けなのですが、時間無制限勝負なので、決着のある未来を選択すべく、もう少し見守りたいと思います。
ある条件にてうなじバイティング成功!
だいぶ日数はかかると思いますが、2つの条件をクリアすることで、巨人の弱点「うなじ」に噛みつくことが成功します。
・条件1:巨人が夜活動を停止する際、うなじが噛みつける位置にくる
巨人が直立歩行時のうなじ(から背骨あたり)は、なかなか噛みつきにくい位置にあります。夜、活動停止時に良い位置にきたらチャンスです。
・条件2:ゾンビが噛みつくひと口めがうなじ
ゾンビは特定の部位を狙っているわけではないので、一番食べやすい位置にある部位に噛みつきます。うなじ以外の場所であれば肉が再生し続けるので、他の部位に行きません。ひと口めの場所がうなじだった場合にのみ、うなじバイティングが成功します。
うなじは再生するのか?
ゾンビがうなじを一噛みできた場合、うなじが再生するかどうかがポイントになります。縦1m幅10㎝のうなじ部分を「大きく損傷」した場合のみ、巨人は絶命するわけで、一噛みでは「小さい損傷」であり、絶命しません。
うなじ部分も他の部位と同じく再生するものであれば、ゾンビの勝ちはありえなくなります。逆に、再生しないのであれば、巨人はピンチです。「小さい損傷」を積み重ねていけば、いずれ「大きい損傷」に到達しますので。
この点に関する描写はなかった気がしますが、ここはうなじも小さい損傷であれば再生するとします。描写のない設定で決着してしまうのも後味悪いですからね。
しかしですね「うなじは再生しない」としても、実はゾンビの勝ちはあり得ないのです。巨人の弱点のうなじは、目に見える部位としてのうなじではなく、縦1m幅10㎝の目に見えない範囲なのです。下の図のように3m級の巨人であれば、その範囲はほぼ背骨です。調査兵団が捕まえた巨人のうなじを切り開く描写がありましたが、人間と同じような背骨がありました。
ここを大きく損傷させようとすると、背骨を噛み砕く必要がありますが、これが不可能なのです。人間の口咬力は頑張って60~70㎏なのに対して、人の骨の耐荷重は約600㎏くらいらしいです。
肉体のセーブ機能が働かないゾンビが、人の限界以上の口咬力を発揮できたとしても、10倍の力は出せないと思います。
別の可能性として、「巨人の肉体は見た目よりも軽い」というセリフもあったので、もしかしたら体が大きいぶん、骨の固さがなくて噛み砕けるかも、と考えました。ですが、そうだとすると、あの巨体を支える強度がないことになり矛盾します。
まとめると、
11.夜、巨人が活動を停止する時に、運良くゾンビがうなじを噛めたとしても、背骨を噛み砕く力がないので大きく損傷させることができない。
となり、これで
ゾンビの勝ちはなくなった!?
FINAL ROUND
ゾンビの勝ちなしという状況が分かりましたが…果たして結末は!?
巨人とゾンビの活動限界は?
巨人もゾンビも、寿命を迎える描写は見たことがありません。どちらかと言えば、巨人の「無限(っぽい)再生能力」を考慮すると、先にゾンビの活動限界が来そうなイメージです。
ゾンビには巨人のような再生能力はありませんが、活動原理は未だ解明されていません。ウォーキング・デッドの最新シーズンは、パンデミックから10年以上経ったことになっていますが、まだまだゾンビ達は元気です。
通常の死体であれば、10年も経てば腐敗しきって白骨化します。未知の何かが腐敗を極端に遅らせ、活動エネルギーを生成していると思われ、それの活動限界が何年なのか、そもそも活動限界が来るのかどうかは、やはりわかりません。
ですが、そういう自然な活動限界(寿命)を迎える前に決着はすると考えます。
先に手を出したら負けの実証
昼間、歩行中の巨人にゾンビが噛みつきますが、巨人はゾンビを攻撃しません。激しく振り払うとかもせず、噛まれてもそのまま歩き続ける(またはちょっと痛みを感じて逃げる)と考えます。ゾンビは噛むことに集中しているので、いずれ体制を崩して振り落とされる格好となります。
それを何百・何千回と繰り返すと、いつか腕か足を捻ったり折ったりなどのダメージを負う場合があります。または、歩行する巨人に正面から向かって行って、はじかれて、ヒザを踏み砕かれる──なんて確率の方が高いかもしれません。
なんにせよ、歩行できなくなったゾンビは、這ってでも食べに行こうとする気概を見せますが、ランダムな巨人徘徊ルートの中で何回か踏まれて肉体を損傷。そしてついには頭部を踏み砕かれて…
巨人の勝利
決まり手:頭部踏み砕き
時間:2~3年以内
となります。巨人に攻撃の意志はないので、
12.たまたま歩いていた足の下にあったゾンビの頭部を粉砕
という偶然の結末であり、これを勝負と言えるかどうかは微妙なところですが、二人の行動をなるべく忠実にシミュレーションした結果こうなりました。ちなみに条件を変えて妄想してみましたが、
3m級1体VSゾンビ大群 → 引き分け
15m級1体VSゾンビ超大群 → 巨人勝利
となりました。なぜそうなるかは、ぜひみなさんも想像してみてください。
まとめの巨人
なんかどうでもいいことを真剣に語ると、もれなく謎本臭がただよってきて、ダサくなってきているのはうすうすわかってはいるのですが…そういう年頃なんで勘弁してください。
結局何が言いたかったかというと、
巨 人 怖 い
ってことですよ! 人を捕食することは怖くありません。動物だって人間襲いますしね。巨人の何が怖いって、
1.人に近い造形なのにコミュニケーションがまったく取れないこと
2.少しデッサンの狂ったフォルム
3.感情・表情がないこと
この3つですよ。読んでもらえれば分かります。分かりやすい牙とか爪とか鋭い目みたいな怖さのアイコンがないくせに、超怖いんです。何回も言いますが、この巨人という恐怖体験の新しさ、アイデアが秀逸な作品です。
あれですよ、チェーンソーマンの第2部にはきっと「巨人の悪魔」が出てきますよ!(漫画脳) ……では次回、中編/ローゼ編、読んだ人向けにネタバレありで解説と感想を語りまくる! をお楽しみに。
マリア編おしまい
※物理・生物の専門家とかではないので、言っていることは大いに間違っている場合がありますので、くれぐれも鵜呑みにしないようにお願いします。
※異論・反論・ディスりは大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。お待ちしております。
※本記事内の「巨人」登場回数は、172回(Title、Discription含む)でした。
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