【写真集】最凶トラウマアイテム死体写真集は現代の九相図か?人生最大の不安「死」をあえて身近に置くことで生きづらさを緩和する裏処方箋!
我が家の本棚にはいくつか写真集がありますが、ジャンルがおおよそ4つしかありません。1つめが工場、2つめが廃墟、3つめが人形、そして4つめが死体です。今回はその最強トラウマアイテム「死体写真集」の世界を語ってみたいと思います。
注:トップ写真はイメージです。
そこに需要はあるんか?
死体写真集の基本的な部分を整理していきたいと思います。そんなのはどうでもいいから具体的な作品情報を早く知りたいという方はこちら(ページ内ジャンプ)。
死体写真集とは
死体写真集とは、本物の人間の死体を被写体とした写真を複数編集したもので、手っ取り早くトラウマを摂取するのに大変有効な爆弾アイテム。人間以外の動物の死骸も死体といいますが、ここでは人間の死体に限定します。
死亡の要因は主に以下の5つに分類でき、特定の要因のみで編集されたものもあります。
- 病死含む自然死
- ミイラ含む自殺
- 事故・災害
- 戦争を除く他殺事件
- 戦争・紛争
「そんなの誰が買うの?」となるのは当然ですが、ここに買った本人がいるのでその経緯や心理状態を次項で触れます。
ちなみに死体写真集とは関係ありませんが、種における死体の言い方と心と魂のラインの図(個人的解釈)を貼っておきます。
なぜ買ったのか
高尚な言い訳をこねくりまわすつもりはなく、初期衝動はシンプルに「欲しい!」でした。
最初に出会ったのは大型書店の美術書・写真集のコーナー、ふと手に取り立ち見してしまって「こんな本あるんだ!」と大変な衝撃を受けた記憶があります。パラパラと見た次の瞬間には反射的にレジに並んでいました。
もともと、複数のトラウマが要因で趣味・嗜好が偏っていた上に厨二と天邪鬼をこじらせ、重度の「他人が見ないモノを逆に見たい衝動(別名:マイノリティ症候群)」を患っており、何か変なモノや普通の人が買わなさそうなものを所持することに価値を感じていたのです。
法医学について学んでいたとかでは全然なく、純粋な衝動買いです。以降基本的には、新しい死体に出会うたびに即買いする感じです。
「見てはいけないものを見る」というある種エッチなコンテンツに近い背徳感がありますが、別に性的な興奮を覚えるわけではなく、見ていると普通に気分は悪くなりダウナーマインドに陥ります。また、こういう本を見たことで小動物を虐待・傷つけたくなった…みたいな欲求は一切芽生えていないのでその点はご安心ください。
メリット・デメリット
劇薬である死体写真集のメリット・デメリットをまとめます(偏見あり)。
先にデメリット
- 気分悪くなる、トラウマになる
- 家に人を呼べない
- 引かれる、人格を疑われる
- バカにされる、いじめられる
- 友達が減る
意外と少ないですよ、3つ目以降は持ってること言わなければ回避できますしね。他に「肉が食えなくなる」などがあるかもしれませんが、牛豚のと畜シーン見て「肉食えなくなる」と同じなので、そういうこと言う人は普段から人肉食べてるかもしれないので注意してください。
メリット
- 差別化欲求が満タンに満ちる
- 死への不安解消から物事に動じなくなる
- グロ・ホラーコンテンツへの耐性がつく
- 車の運転などが慎重になる
- 食欲が減退し痩せる
- 本物死体を見た際のトラウマがやわらぐ
- (嫌いな)親を不安にさせる、遠ざける
- 家族がやさしくなる
- しつこい異性からのアプローチを断る切り札になる
意外と多いと思いますよ。デメリットの「友達が減る」も、孤独好きの人にとってはメリットですしね。死体写真集ダイエットは、サプリなんかに比べると安価ですし真剣に検討してみてもいいかもです。
ただし最後の「別れ話の説得材料」は、ごく稀に逆効果になってしまう場合があるのでそこだけ注意です。
死体写真集の歴史
主に国内の死体写真集の歴史を整理しました。歴史はどうでもいいから具体的な作品情報を早く知りたいという方はこちら(ページ内ジャンプ)。
幕末~明治
まだ写真技術が一般的ではなく写真集という概念自体がない時代ですが、下川耿史氏の『日本残酷写真史(詳細後述)』によるといくつかその源流についての記載があります。
- 1866年浮世絵『英名二十八衆句』が刊行され月岡芳年の残酷絵師としての評判が確立
- 1874年反乱を起こし処刑された江藤新平が、日本で最後にさらし首となった男。このさらし首写真について、広範囲に出回ったため政府が販売を禁止した
- 1880年代、外国人の土産用に切腹や打ち首写真が販売されていたが、これは横浜の金幣写真館で撮影されたフェイク
- 1897年日本初の従軍カメラマン亀井茲明による日清戦争の記録写真『明治廿七八年戦役写真帖』刊行、一部に死体が写っているものがある
その他災害現場などが記録として撮影されていますが、メディアとして人の目に触れる機会はまだまだ少なかったと思われます。
大正~昭和初期
これについては別冊宝島228『死体の本』の中で、以前こちらの記事でもご紹介したよろず研究家松沢呉一先生が『図説…変態&死体カルチャーの世界』として詳細にまとめられており大変参考になります。要点を引用させていただきます。
- 1923年関東大震災で数多くの死体写真が絵葉書として販売された
- 1926年梅原北明が雑誌『変態資料』を刊行し死体写真が掲載される
- その後エロ・グロ・犯罪をテーマとした雑誌が創刊されては発禁となる
- 1930年武侠社より日本初の死体写真集『犯罪現場写真集』発刊
- 満州事変、日中戦争、太平洋戦争などで猟奇は衰退
関東大震災から戦前あたりのこのブームは、当時タブー視され弾圧されたエロの代替という側面もあった、と記載があります。確かに現代においてもグロのそばにはエロがあることが多く見受けられます。1930年『犯罪現場写真集』については後でご紹介します(無料で閲覧可能)。
戦後の動向
戦後、いわゆるカストリ雑誌と呼ばれるエロ・グロ・猟奇を扱う雑誌が同時多発的に生まれるも、1950年頃にはブーム終焉。以降SM含むエロスカルチャーはじわじわと成長。
1980年代に死体写真は動きを見せます。
- 1982年ペヨトル工房発行の雑誌『夜想』5号で『屍体~幻想へのテロル』を特集
- 1982~1984年頃根本敬が死体写真漫画『極楽劇場』を自販機本で連載
- 1983年河出書房新社より『死者が語る戦争』発行
- 1984年ビー・セラーズから死体写真集『SCENE』発行
夜想5号は屍体にまつわる文化・芸術・社会の研究・考察集のような編集ですが、ミイラ含む生々しい死体写真が約40点掲載されています(すべて白黒)。SCENEと極楽劇場については後で紹介します。
1990年代に鬼畜・悪趣味ブームが起こり、それ系の雑誌でかなりの死体写真が消費され、連動して写真集も以下のような動きを見せます。
- 1993年写真集ではないが布施英利氏『死体を探せ!』『図説・死体論』が火付け役に
- 1994年桜桃書房より『SCENE―屍体写真集 戦慄の虐殺現場百態』発行
- 1996年釣崎清隆氏の初写真集『danse macabre to the HARDCORE WORKS』発行
- 1996年アメリカで『DEATH SCENES』発行
これらの作品は後で紹介します。
悪趣味ブームは、1997年酒鬼薔薇聖斗事件を境に収束し、またインターネットの発達により刺激的な画像や情報が簡単に手に入るようになったことで、終焉を迎えていきました。2000年代以降、たまに雑誌で特集組まれたり、釣崎氏が作品を発表したりはしていますが、比較的おとなしく現在に至ります。
おすすめ死体写真集4選
おすすめの死体写真集4作品を発刊の古い順でご紹介します。中身の写真はいろいろマズいことがあるので掲載しません、ご安心ください。
SCENE
写真集としての美しさ ★★★★★
トラウマ度 ★★★☆☆
1984年ビー・セラーズ(AVメーカー)から出版された、おそらく日本で初の純粋な死体写真集。クラフト紙による二重の外ケースが死臭を見事に打ち消しているオシャレな装丁。ただしこれは1994年に発行された第2版で、初版が同じ装丁だったかは画像情報がなく不明。
箱の封に「MEMENTO MORI」とあり、さらりと注意を促していて良きデザインです。
本のサイズはA4、64点すべて白黒の写真が掲載されています。少し厚めの紙に片面印刷で、上下左右にしっかり余白があるのでとても見やすく写真集として優れたレイアウトであり、切り離して額に入れて飾りたい衝動にかられます。
この本の写真はドイツの法医学図版集からの転載とのことです。法医学者プロコップ(Otto Prokop)氏と、法医病理学者ヴァイマン(Waldemar Weiman)氏により編集されたその本は1963年に刊行されているので、それより以前に撮影された写真ということになります。
全ておそらくドイツ人の自殺や他殺の現場写真で構成されおり、司法解剖時や死体安置所の写真はありません。被写体との距離を考えるとほぼ警察による撮影だと思われます。白黒で古い写真なのでけっこう粗いものが多いのですが、それゆえ生々しさはだいぶマイルドになっており、全体的に静謐な印象。ビギナーにおすすめな一冊です。
Amazonに中古が2,000円くらいでいくつか出てます。(2022年6月現在)
SCENE―屍体写真集 戦慄の虐殺現場百態
ボリューム ★★★★★
トラウマ度 ★★★★☆
1994年桜桃書房から発売のこれ、タイトルが同じで紛らわしいですが前項のSCENEとはまったく中身は別物です。黒が上巻、銀色が下巻の2冊構成で、どちらもサイズはA4でページ数は同じ、重厚な上製本です。それぞれ98点、2冊合計で196点の圧倒的ボリュームが特長。
定価が片方15,000円なので、2冊買うと30,000円となります…って
誰が買うんだ!?
こちらも全編白黒ですが、84年SCENEより写真が新しく鮮明なぶんトラウマ度は高めかと思います。ネットで調べたところこの本の掲載写真は全てコロンビア人の写真家、アルバロ・フェルナンデス・ボニージャ(ALVARO FERNANDEZ BONILLA)氏のもののようです。
ほぼ全て他殺の現場写真となっており、コロンビアでの撮影だと思われます。けっこう寄りのカットで死にたてホヤホヤ(血が乾いていない)の写真が多いので、そのあたりは日本との違い(日本だと規制線が貼られて近寄れない)を感じられます。ただ、この死体の新鮮さと点数の多さを見ると警察に同行していたのではと予想しましたが、もしそうでなかったらこれだけ変死体に出会えるコロンビア、ヤバすぎです。
コロンビアの殺人率は、この写真集が出る前の4年間(90~93年)連続1位を獲得しています。銃を持ったまま死んでいたり、後ろ手に縛られて殺されている人が多いので、麻薬をめぐる南米マフィア抗争の激しさを感じます。他殺体をこれだけ連続で眺めていると、人の不完全さを認識せざるを得ません。そういう生き物であると捉え危機意識を持ち自衛していかねば!と気持ちが引き締まる一冊です。
ちなみにアルバロ氏は2007年、未成年への性的虐待の罪で逮捕され懲役17年となりましたが、次項でご紹介する釣崎氏によると無実の罪とのことです。
dance macabre to the HARDCORE WORKS
フルカラー ★★★★★
トラウマ度 ★★★★★
世界的にも稀有な死体専門カメラマン釣崎清隆氏による初の死体写真集、1996年発行。AB判に布と箔押しで加工されたハードカバー製本、気合が入っています。約120ページに両面印刷なのでかなりの点数があり、なにより全点フルカラーなのでショッキングが過ぎます。
釣崎氏がタイやコロンビアなど外国を周り、撮り集めた死体の数々。自然死、自殺、事故、他殺など死因はさまざま、飛び降りの瞬間、交通事故直後の現場、葬儀、死体安置所など場所もさまざま。死体のみをモチーフとする死体専門カメラマンとしての意地、執念さえ感じる一冊です。
外傷が少ない死体は一見生きている人が眠っているようにも見えますが、何かが決定的に違います。人の姿をしているから生きているという先入観と、それとのギャップが心をざわつかせる原因ではないでしょうか。
何度も見ていると慣れてきて前述のギャップが次第に取り払われていくと、後に残るのは意外と美しさだったりします。
生きている時は多少でも他人からの見られ方や体面を意識(または無意識にも)していて、本当の意味でのありのままの自分というものは出せていないはず。死ぬとそのカバーが外れ真に素の人の姿となり、生きている時には見ることができない表情を見せます。これを不気味と見るか美しいと見るかはきっと個人差がありますが、釣崎氏がシャッターを押す動機はそこにある気がします。
この後も数点の死体写真集が発行されていますが、入手はなかなか困難です。
今クラウドファンディングで、生きている人の写真集『THE LIVING』出版のプロジェクト応援が募集されています。2022年9月5日まで。
DEATH SCENES
グロテスク ★★★★★
トラウマ度 ★★★★☆
これは私が初めて買った死体写真集です。
六つ切り版サイズ(20.3cm×25.4cm)の平綴じ本で、全ページ白黒で約160ページ両面印刷、1ページに複数点掲載されているので写真点数は1994年SCENE上下巻を凌駕。1996年アメリカで出版されたものとなります。
この写真集はロサンゼルス市警に勤務していたジャック・ハドルストン氏(下記写真参照)の個人趣味的スクラップブックを抜粋して編集したもの。1921年~50年代にかけて集められたもので、自殺、事故、他殺などの死体写真を中心に、犯罪者の顔写真、奇形、象皮病・狂犬病・梅毒などの患者写真、ガス室などの処刑施設など多岐に渡るダークサイドな写真がメモ付きで編集されています。
引用:Death Scenes: A Homicide Detective’s Scrapbook / Feral House (1996/4/1)
ハドルストン氏の手書きのメモなどもきちんとレイアウトされており、スクラップ感を再現している良き編集。写真はかなり古いものですが、経年劣化によるキズ・カスレ等はPhotoShopでレタッチされておりかなり鮮明、トラウマが捗ります。
お見せできないのが残念ですが2つ印象的な写真があります。
1つめは頭部の半分ほどが損壊している顔のアップ写真。残った片方の眼にたまたま水分が残っていたのか、入ったのかキラリと光っています。絶対死んでいる損壊状況に対して生きているような目の輝きがギャップで脳がバグります。
2つめは自動車事故現場、切断された若い男の頭部が道路のど真ん中に立っている写真です。彼の顔面に外傷はなく、とても穏やかな表情で目を閉じています。不謹慎と言われようがこれは文句なくアーティスティックで美を感じる1カット。
氏のコメントで、これらの残忍な事件はほぼ全て犯人が捕まり刑に処せられているとあり、このスクラップはそういう犯罪抑止の目的で蒐集していたとのこと。だとするとフリークスや病態写真の説明がつかず、趣味が高じて感が抑えきれていません。
ないのなら
造るぞグロい
写真集
こちらは国内版が発行されており、比較的お求めやすくなっております。
写真集ではないがおすすめ死体本
写真集ではありませんが、死体に関する3冊をご紹介します。
極楽劇場シリーズ/根本敬
極楽劇場とは、特殊漫画家根本敬氏によるマンガ作品。
1982~1984年頃※1自販機本で連載されていたもので、後に単行本『豚小屋発犬小屋行き』に収録されました。コマの中に死体写真をコピー・コラージュしフキダシを付けています。死体がまるで生きているように会話しドタバタ劇を繰り広げている究極のブラックユーモア作品となっています。
今では許されないでしょうが、その発想と実行力は他に類を見ず、特殊追求活動にブレーキという単語がいっさいなかったことが伺えます。
※1:極楽劇場の正確な連載時期は不明。アリス出版の自販機本『月刊EVE』に連載されていたが、vol.20が「幻の最終廃刊記念号」となっており1984年に刊行されている。作品が収録されている単行本『豚小屋発犬小屋行き』に初出情報はないが、「幻の初期作品集(1981-84)」という記載がある。
この作品の魅力は言葉ではなかなか伝えにくいので、大好きなシーンを1コマだけ引用させてください。死体が温泉に入って「生き返る~」と言っているシーンも捨てがたいのですが、一番はコレ↓
引用:極楽劇場シリーズ「ケン太の春休み」/根本敬/豚小屋発犬小屋行き/青林堂
みんな死体なので死んだふりは完璧なはずなのに、プルプル怯えながら死んだふりをしているのが超カワイイです。
『ONE PIECE』に登場するブルックの死人ギャグと、この極楽劇場のコンセプトはまったく同じなので、ブルック推しの方はぜひ押さえておくべき作品かと思います。
図説・死体論/布施英利
大学の解剖学助手であった布施英利氏によって1993年に発行されたこれと『死体を探せ!』の2冊が90年代の死体ブームの火付け役となりました。
探せ!の方はテキスト中心、この『図説・死体論』は図版中心です。文章はあまりなく、ほぼ図版と写真で構成されており、もうほぼ死体写真集な本かと思います。巻頭の4ページのみフルカラーでいきなりショッキングです(ロシアでの解剖風景、民衆によって焼かれ吊るされた兵士、ルオーによる首つり死体絵画、チベットの鳥葬)。以降の本文は白黒、多くの死体図版・写真を体系だてて紹介しています。
Ⅰ死体の研究<医学>
Ⅰ‐1.解剖室 Ⅰ‐2.プラスチックの死体
Ⅱ描かれた死体
Ⅱ‐1.人体解剖図 Ⅱ‐2.死体美術
Ⅲ死体の現場<ドキュメンタリー>
Ⅲ‐1.戦場 Ⅲ‐2.事故と災害 Ⅲ‐3.葬儀
Ⅱ章は図版や絵画なので写真はありません。それでも100点以上の死の写真が世界各地のいろいろなソースから集められ、編集されています。他殺の死体はなく(戦争除く)コンセプトも悪趣味ではないので、比較的本棚にあっても問題なさげな一冊です。
日本 残酷写真史/下川耿史
2006年発行の書籍。江戸時代から現代までの残酷の歴史を約170点の貴重な写真とともに解説しています。日本~と言いつつホロコーストなど世界の残酷写真もあり、戦争関連の話がやや多め。写真は全点白黒で、約7割くらいは死体写真、サイズは小さめですがボリュームはかなりのものです。
中でも第1話「残酷写真の江戸から明治」がおすすめ。 磔 、さらし首などの刑罰の貴重な実物写真が掲載されており、時代劇や映画などで見るモノとはやっぱりコクと深みが違います。この頃の写真は、ほぼイギリス人写真家フェリーチェ・ベアト(Felice Beato)によるものですが、外から当時の日本を見ると「野蛮でヤベー民族だな」と思ったに違いありません。
今すぐ無料で観ることができる日本初の死体写真集
歴史の話で触れた日本で最初の死体写真集、1930年発行の『犯罪現場写真集』。なんとこちら、国立国会図書館デジタルコレクションとして無料で誰でも今すぐ会員登録などなしで閲覧できます。
総ページ数159ページ、61件の犯罪現場写真が説明付きで紹介されており、そのうち15件が国内のもの。白黒ですが死体の写真満載なので、当然閲覧は注意的な内容です。
それでは覚悟を決めて行ってらっしゃいませ。
まとめ
現存するものは少ないですが「九相図」という仏教絵画があります。
人が死んだ後の肉体の変化を9段階で克明に描くもので、これはまさに写真がなかった時代の死体写真集ではないかと捉えます。山本聡美先生『九相図を読む』によると九相図は、「観想の補助具としての絵画」という役割を持つそうです。
観相とは、お坊さんが悟りを開くためのイメトレのことで、仏様の姿を詳細にイメージすることでその域に近づく、また醜い死体をじっくり見て記憶することで肉体の不浄を知り肉欲を断つ、というような修行です。この修行時、なかなかいい具合の死体が落ちていない、そんな時にこの九相図の出番となります。
現代のお坊さんは、よりリアルな死体写真があるので観想が捗りますね!
もちろん私は悟り目的で購入したわけではありませんが、ずっと死体写真を眺めていると慣れてきます。
自分も死んだらこうなっちゃうのだなと具体的にイメージでき、メメント・モリへの認識が深まりました。そうするとトラブル的なことに動じることがわりと少なくなり、生きづらさみたいなものが少し解消された気がします。これは悟りに近づいているってことでしょうかね。
今の時代、ちょっとネットを散策すれば死体写真や動画なんて目をつぶっていても出会うことができますが、やはり物理的に所持しているという緊張感は味わえません。質量以上の重みが精神的支柱を補強してくれるので、ぜひ一家に一冊常備しておいてもらいたいものですが、死体写真持ってるCOするとやっぱり10人中9.5人に引かれてしまうのでそこは注意です。
最後に寺山修司さんの戯曲『百年の孤独』の一節を締めの言葉とさせていただきます。
にんげんは、中途半端な死体として生まれてきて、一生かゝって完全な死体になるんだ。
引用:百年の孤独/寺山修司
おしまい
シタイラボ
生前のうちに死体の気分を味わってみたい、という方におススメ。死のメイクや撮影をしてくれて死および死体の疑似体験ができるクールでデッドなワンダーランド。大阪府東大阪市。