【都会のど真ん中にポツンとウマスポ】 品川駅徒歩5分「お肉の情報館(入場無料)」に行ってみて一部展示にゾッとした話

以前から行ってみたかった、品川の食肉市場にある「お肉の情報館」にやっと行くことができましたので、簡単にレポートします。
山奥にポツンと一軒家…じゃなく、都会にポツンとトラウマスポット! …という感じで紹介しようと考えていましたが、トラウマ度はそんなに、というかぜんぜん強くありません。一部だけ注意していただければ、お子様でも楽しく学べる良き情報館です。
基本情報
お肉の情報館は、開かれた市場づくりと市場の活性化、と場に対する偏見や差別の解消などを目的に平成14年に開設された施設。入場は無料です。
施設の詳しい情報はこちら
その昔、家畜を殺すことを屠殺(とさつ)、その場所を屠殺場と言っていましたが、言葉の持つ残酷な印象が偏見につながるとして、今では屠殺のことを「と畜」、場所を「と場」と言います。
今は「とさつ」と入力しても屠殺が変換候補として出ないようになっていますし、昔のマンガの中で使われた類する表現も、変更されるようになっています。そうまでせざるを得ない理由がしっかり展示されていますが、詳しくは後述します。
アクセス

品川駅(東京都港区)からほんとにすぐ、徒歩5分くらいです。
普通に駅前のビル群に溶け込んでいて、食肉市場感はまったくありません。においなどもぜんぜんなく、時間のせいかもしれませんが周囲を歩いていても家畜の姿は一切見えませんでした。
手前に正門がありますが、それを越えて一番立派なビルの6Fにあります。ビルに受付等はなく、普通に入っていってエレベーターに乗れます。
駅からの地図はこちら。
開館時間

こちらの施設、開館時間が平日の10:00~18:00なので、土日祝日は入れません。もう、会社や学校などを休んで行くしかありませんが、行く価値はあると思います。
施設の中は撮影禁止なので、写真はここまで。受付で名前などを書いて、入館証(首からぶらさげるカードホルダーみたいなもの)を身につけていよいよ見学です。
みどころランキング
順路があり、基本は充実したパネル展示を見ていきますが、内容は盛りだくさんです。きちんと細部まで読み込んでいくと、1時間ではぜんぜん足りません。所要時間90分くらいみておくと良いでしょう。
おすすめのみどころポイントをランキング形式でご紹介します。
4位 実物大の肉レプリカ
1/1の牛さんと豚さんフィギュアと一緒に陳列している、処理された牛の枝肉(頭部や皮や内臓を処理した半身)のレプリカが圧巻です。

また、本物と同じ重さのレバーやタンのレプリカもあり「実際に持ち上げて重さを実感してみよう!」という体験コーナーがありましたが、今はコロナで触れるのが禁止になっていました。
(´·ε·`)ショボーン
3位 と畜解体道具の現物展示
と畜解体の流れの説明パネルとともに、実際に作業で使われる道具類の現物展示がありました。
肉を吊るすのに使うごっついトロリー、解体用のナイフ、牛を気絶させるためのと畜銃、今は使われていないピッシングワイヤー(と畜後に牛が動いて作業者がケガをしないよう脳や神経を破壊する装置)など、普段なかなか見ることができない道具類に萌えます。
解体ナイフは切れ味が重要なのでしょっちゅう研ぐそうです(場合によっては1日複数回)。なので、長年使っているとナイフのサイズがどんどん小さくなっていきます(その小さくなったナイフも展示されています)。木工職人のノミとかカンナと同じですね。

2位 と畜解体作業紹介動画
受付のすぐ向かいにパソコンが1台あり、この施設の展示内容をほぼ全て動画で見ることができます。ナレーションもあり、きちんと編集されているクオリティ高い動画です。
と畜解体作業を動画&ノーモザイクで見ることができるのがこの情報館の醍醐味。やはり最初の気絶させるところから放血までが多少ショッキングではありますが、安全・衛生的に処理するためにさまざまな工程があることを学ぶことができます。
動画はいくつかのパートに分かれていますが、全部しっかり見ると30分以上はかかります。入館したときに来場者が複数名いたら、先にこの動画から見てしまうといいかもしれません。ただ、静かな展示室の中でヘッドホンもないので、音量は注意しましょう。
1位 悪意の手紙
このと畜に関わる人や場所に対する偏見・差別がいまだにあるとのこと。食肉市場に送られてきた誹謗中傷の実際のハガキ・手紙が複数展示されており、内容を読むことができます。
これがひどい!というかヤバい!
理屈も根拠もないただの暴言が書きなぐられており、そのゆがんだ悪意にさすがの私もゾッとしました。フィクションでは味わえないこのリアル悪意は、差別撤廃のためにもぜひ触れておくべきでしょう。良き展示です。

まとめ
充実の展示内容に感動したので、人見知り1級の私ですが勇気を振り絞って受付の人にいろいろ聞いてみました。
- 牛と豚のみで鳥は扱っていない。
- 処理する部屋の室温は肉が傷まないよう低めに設定されているが、牛の肉が放つ体温で汗ばむくらいポカポカになってしまう。
- 気絶させる方法は牛がと銃(脳への衝撃)で豚がガス。牛がガスじゃない理由は体が大きくて効きにくいから。
など、教えていただきました。ありがとうございます。
とても学びの多い施設なのに、無料なのが驚きです。平日しか入れない点がちょっとハードルですが、お肉を食べる方であれば一度は行ってみるべきかと思います。
そして見終わったら、
- お肉のない世界
- 自分がお肉として食べられてしまう世界
を想像してみましょう。
その後マックか吉野家などに行ってみてください。
いつものお肉にとてもありがたみを感じるはずです。
おしまい
あわせて見たい
今回の話に関係しそうなコンテンツ紹介的なコーナー。
【Youtube】食肉処理場(屠殺場)について全てお話しますRE
実際にと場で働いていた方(しょうやんさん)の体験談(約20分)動画でとても参考になります。この動画以外にも、と場・と畜にまつわる動画をいろいろアップされているのでぜひご覧ください。
【映画】いのちの食べかた
ドイツのニコラウス・ゲイルハイター監督の2005年公開ドキュメンタリー映画。ヨーロッパ各地で行われている、農畜産物の大規模・大量生産の現場を捉えたドキュメンタリーで、ナレーション等が一切ありません。
説明をなくすことで、見た人基準の問題点と解釈を引き出す良作で、これ系の中では一番好きな映画です。こちらの記事で詳しく紹介しています。
【映画】ある精肉店の話
大阪のとある精肉店の営みを追った、日本のドキュメンタリー映画。一家で牛を育てるところから、加工販売まで行うあまり最近ではないタイプの精肉店が舞台で、小規模と場、皮の活用、地域との共生などの実情を丁寧に捉えています。ソフト化はされていませんが、たまに上映会や映画館上映をやっています。
【テレビ番組】ザ・ブッチャー ~至高の肉カット決定戦~
U-NEXTで配信されていたアメリカのテレビ番組で全6回。アメリカ全土から集まった凄腕ブッチャー(お肉屋さん)が、賞金1万ドルとプライドをかけて肉の解体・加工技術を競い合う至高の肉バトルショー。
制限時間の中でどれだけムダなく美しく売れる形に加工できるかは、まさに職人的な知識と経験がモノを言うわけで、もうなんだったら新手のスポーツ競技に見えます。こんな番組を日本でやれば、もっと「お肉屋さんカッコイイ!なりたい!」という子供が増えそうですけどね。
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