【日本映画】「謎の浮浪者問題」を解決!伝説のノンストップエログロメタルホラー「鉄男」をちゃんと見よう!【祝!30周年】

【日本映画】「謎の浮浪者問題」を解決!伝説のノンストップエログロメタルホラー「鉄男」をちゃんと見よう!【祝!30周年】

 

「人間機械」に引き続き、インダストリアルな映画をもう1本紹介しましょう。今度は、もう古典と言っていいかな? 1989年公開の日本ホラー映画「鉄男  TETSUO THE IRON MAN」です。これは有名な映画なので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか? ネット上で解説やレビューなどたくさん情報が出ていますが、トラウマ映画としてはやはり外せない1本なのでので、取り上げます。

以下ネタバレが多めなので、ご了承ください。

 

祝!「鉄男」生誕30周年特別上映やるそうです!

2019年5月11日~/立川シネマシティ

 

「鉄男」私の人生を変えた1本

 


小学生の頃、社会科の授業で「工場=公害=有害」というイメージを植え付けられて育った方も多いことでしょう。私もまさにそうで、錆びれた工場なんかは、「汚い」「危ない」という目で見ていました。

しかし、いろいろなアーティストの音楽や絵などのコンテンツを見ていくうちに、「あれ?なんか時間が経って寂れた(錆びれた)モノとか、巨大で無機質な工場とかってカッコイイんじゃね?」と思い始めていました。

まさにそんな時に出会って、

工場とか鉄カッケエエエッ!!!!!

という価値観をガッチリ定着させてくれた映画がコレです。

 

●低予算ホラー映画 67分 1989年 日本

●R15+

●監督・脚本・撮影・編集・美術・照明・出演:塚本晋也

●あるサラリーマンが主役の日本が舞台

●全編モノクロ

●主演:田口トモロヲと塚本晋也

 

大まかなあらすじ

ある日目覚めると、平凡なサラリーマンの頬に金属のトゲのようなニキビが・・・。その日から男の体の中で肉体と金属の壮絶な戦いが始まった・・・。ペニスまで金属ドリルと化した男は、恋人をえぐり殺し、“やつ”と合体した鉄のかたまりとなって、都市の荒野に叫ぶ。「世界中を錆くさらせて、宇宙のもくずに帰してやろう」「俺たちの愛情で、世界を燃え上がらせてやる」。世界へ向けて、巨大なメタルサイキックウォーズが始まる・・・。(C)1989 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

飲尿…じゃなくて引用:鉄男 ニューHDマスター/YouTube

……

「いや、全部言っちゃったよ!!」(さまぁ~ず三村さん風)

まさにラストシーンが上記で引用した感じです。

 

■公式トレーラー

鉄男 TETSUO THE IRON MAN

 

↓最初の3分が視聴できます。(鉄男 ニューHDマスター/Youtube)

 

↓¥300(税別)でレンタル視聴(72時間)できます。(鉄男 ニューHDマスター/Youtube)

 

■Amazonなら¥100でレンタル視聴(48時間)↓

鉄男 ニューHDマスター

 

■監督の塚本晋也さん公式サイト

 

 

 

この映画の面白いところ

いろいろ良いところがあるのですが、まずは3つほどご紹介。

 

1:まともなやつがいない

一般的なホラー映画って、「何か得体の知れないものに襲われる」という構図がほとんどだと思いますが、その恐怖感を観客に共感させるため、ふつう「襲われる側」はまともな人間なんです。

「鉄男」は違います。

鉄男における「襲われる側」、田口トモロヲさん演じる「男」は、はじめのほうこそザ・襲われる側なのですが、中盤から一気に「まあまあなヤバい奴」であることが分かってきます。決して「平凡なサラリーマン」ではありません。

・出来立ての料理を熱々のフライパンのままテーブルにドンと乗せる

・恋人(藤原京さん演じる「女」)から逆アナルされる夢を見る(深層変態願望)

・体の一部から鉄が生えてきたのに病院に行かず恋人と性交

・自動車で人をはねるが山に遺棄してその場で恋人と性交

 

 

当然襲う側の塚本晋也監督自ら演じる「やつ」もヤヴァンゲリオンです。「体内に金属を埋め込むと細胞が融合して強靭な肉体に変貌する」というヤバい妄想を持っていました。

 

主人公「男」の恋人である「女」もヤバい。【轢き殺し遺体からの見られ性交】にはまりすぎて、おかしくなってしまいます。鉄のバケモノと化してしまった恋人(「男」)に襲われたため、正当防衛で殺してしまいました。その目の前の死(実際は死んでなくて「死にかけ」の状態)に大変興奮してしまいました。「男」はその時、男性器がかなり禍々しいドリルになっていましたが、「女」さんは興奮を抑えきれず、命をかけて入れちゃいます。結果は…………合掌。

 

あと、六平直政さん演じる「医者」もヤバい。頭にまあまあな大きさの金属片が刺さった「やつ」を診察し、「芸術的な刺さり方をしているから生きてられるのか…まぁ、かんざしだと思って仲良くやりな」と言い捨てる。……いや、そんな医者いないよっ!

 

とまあ、まともな人視点がぜんぜんないところが、この映画の斬新なところです。

 

でも実は、まともな人がこっそりいます。叶岡伸さん演じる「眼鏡の女」です。登場してすぐ「やつ」に乗っ取られて怪人化しちゃいますが、乗っ取られなかったら、たぶん読書が好きで気弱で男子が苦手で、軽めのトラウマを2~3個持ってるくらいの普通の眼鏡女子です。

駅のベンチに座っていたら、知らない男が隣に座ったから、すぐさま一つ隣の席に移動するような臆病さがありますが、【鉄のパーツがいろいろ組み合わさっていてドクンドクンと脈打っている、見るからにヤバそうな謎の生命体】には、恐る恐るながらも触れてみるくらいの好奇心旺盛さ・大胆さもあり、タイプです。

( *´艸`)

 

 

2:一貫していないところ

鉄男は良くも悪くも【考えるな感じろ】タイプの映画です。「全てのシーンや展開が意味を持ってないとダメ。理解ができない表現や、解釈を見る側に委ねる作品は駄作。」主義の人にとって、鉄男は見るのがつらいでしょう。

登場人物のベクトルがころころ変わるため、見る側は、状況についていくのに必死にならざるをえません。はじめは心を無心にして、ただただシーンを受け入れるが吉でしょう。

 

例えば物語中盤で、「男」の家を強襲した「やつ」がこう言います。「もうすぐあなたは脳まで金属になる……お土産に面白いもの見せましょうか……NEW WORLDだ!」 そうして【金属だけで覆われた世界】のビジョンを「男」に見せつけます。

ああ、これが「やつ」にとっての理想郷で、【死と再生】的なテーマの映画か! と思っていたらラストシーンでは、「世界中を錆びくさらせて、宇宙のもくずに帰してやろうか!」と言う。

「破壊するだけかーい!再生はせんのかーーい!」(髭男爵さん風)と、見事に裏切られます。

 

もう一つ、「男」と「女」は、【轢き殺し&死体遺棄】を共有できる程の深い関係であったのに、「男」は、怪人化した顔を「驚かないって言ったのに驚いたこと」に、なぜかすっごい腹を立てて「女」を殺そうとしちゃうところも、ちょっと一貫性がない感じがします。

(これは金属化の浸食が精神にも影響して、まともな判断ができなくなったから、という解釈もできますが)

 

で、一貫してないというか、何度見てもいまだに理解できないシーンもあります。はじめのほうの「男」対「眼鏡の女」対決シーンのラストです。

「男」が「眼鏡の女」に追い詰められます。

「男」は金属化の能力に覚醒して「眼鏡の女」を豪打します。

遠隔操作している「やつ」もダメージ受けてます。でも「さあ来ぉい!」と余裕で煽ります。

「男」は腹パンをかまします。

遠隔操作している「やつ」もダメージ受けました。

「男」は、ベアハッグ(相撲で言う鯖折り)を繰り出します。

腹パンからベアハッグのコンボはけっこう効いたらしく、「やつ」は頭を掻きむしった後、「眼鏡の女」とのリンクを切断します。「眼鏡の女」の声が、普通の女性の声に戻ります。

「男」はベアハッグで「眼鏡の女」をバキバキにしながら「やめろおおおおお!」と叫びます。

(ここで謎1:何に対しての「やめろ」なのか? 「眼鏡の女」への攻撃行動がこの時自分の制御下ではなく、「眼鏡の女」を殺してしまいそうだから、その勝手に動いてしまう自分の体に対して「やめろ」なのか? でもやらなかったら自分が殺されちゃうしね。「やつ」のリンク切れを知覚できたのかな? よくわかりません)

「やつ」が超高笑いします。(「もうリンク切ったのに、普通の女に戻ってんのに、こいつ必死で攻撃してるよ。バーカ!」ということかな?)

「男」は「眼鏡の女」にとどめを刺し、「眼鏡の女」は無残な姿に。

「やつ」は、「くそぅ!」という感じで金網を殴りつけます

(ここで謎2:何に対して悔しがっているのか? 「眼鏡の女」を遠隔操作しての復讐作戦が失敗してしまった事の「くそぅ!」でしょうか? でも高笑いのほんとに直後なので意味わかりません。もしそうだとしたら冷静になることTBメモリのごとしです。)

 

…などなど、まともに考察しようとすると壁にぶちあたることだらけですが、そこが良い所と考えます。【言動や行動が一貫していないこと=狂気感】を演出するために、そうしているのではないでしょうか。人は理解の及ばないモノやコトに恐怖を感じますので。

 

 

3:迫真の演技:田口トモロヲ

漫画も描いて、バンドもやって、のちにプロジェクトXなどナレーターでも活躍するなど、多彩な能力を発揮する田口トモロヲさん。詳しくはこちらを↓

 

鉄男では、このトモロヲさんの32歳時のプリップリのおケツが拝めますよ。

( *´艸`)ムフ

…じゃなくて、演技がスゴイです。

もう、全編いい味出してますが、一つあげるならこれを。「眼鏡の女」に勝ち、冷静になって自分の体を見てみると、腕の一部とかかとのあたりが金属化している! それに慄(おのの)いている時の表情です。もう、マンガみたいな表情になってて「CGか?」と思えるほどです。

鉄男 田口トモロヲ

 

 

 

「謎の浮浪者」石橋蓮司シーン考察

 

「鉄男」は、ちゃんとしたストーリーはあるのですが、編集上時系列が前後したりしていて、1回見ただけではちょっと理解するのが難しいかもしれません。2~3回見ていただくことをおススメします。

で、2~3回見てもよくわからない、という方は、こちらの方のブログをご覧ください。映画のストーリーが時系列で整理されており、非常にわかりやすいです。

 

はい、ここからが本題です。これが言いたくてこの記事書いているようなものです。

 

映画後半で、「男」と「やつ」がエクストリーム鬼ごっこに興じている最中、石橋蓮司演じる「謎の浮浪者」が突然登場し、「やつ」を攻撃します……?

ウィキにも、この浮浪者について”何故か、「やつ」の目的を邪魔するかのように、男を襲ったホームレス。”と書いてあり、レビューなどでも「なんであそこで突然石橋蓮司が出てきたのか、わけわかめ酒」というコメントが見受けられました。

 

これ違いますよね。エクストリーム鬼ごっこの最中に攻撃してきたのではなく、【「やつ」さんの幼少期トラウマ】がフラッシュバックしたっつーことですよね。

 

根拠です。

●「やつ」を「坊や」と呼んでいる。

●「やめろぉ」という声がだんだん少年の声になる。

●「男」と「やつ」は超スピードのエクストリーム鬼ごっこの最中なのに、「謎の浮浪者」は超スピードで移動していない。

●ただの浮浪者強襲であれば、「やつ」の能力で楽勝なはず。

 

私もはじめは???でしたが、2~3回目に理解できました。以下私の【妄想】も加えて詳しく解説します。(信用しないように)

 

<ミシリー岡田の『鉄男』超解説!>

 

「やつ」は幼少期、ちょっと頭のおかしい浮浪者に目を付けられ、追い回された後、襲われます。「やめろぉ!」という叫びもむなしく、浮浪者は金属棒で「やつ少年」をしこたま殴り続けます。そして「やつ少年」が死んでしまう寸前で浮浪者は殴るのをやめます。寸止めです。

浮浪者は、少年を殺すことが目的ではありませんでした。無垢な少年に、恐怖と絶望の深~いトラウマを植え付けることが目的だったのです。もしかしたら「やつ」にだけではなく、他の少年少女にも同じようなことをしていたかもしれません。行為的には完全に異常者ですが、自身の不幸な境遇(自身も似たような体験をした?)に対する【腹いせ】だったかもしれません。

 

「やつ少年」は当然トラウマになります。あまりにひどい体験なので、解離性健忘による記憶障害(襲われたことをなかったこととする)になってしまったのではないでしょうか。そうしてひどい体験の記憶は心の奥底に封じましたが、その後の人生・価値観にいくつか影響が出てしまいました。

 

一つは【足の速さへの渇望】。映画の冒頭、「やつ」の住処には、陸上選手の切り抜き写真がいくつも飾ってありました。これは単純に「陸上が好きだったから」ではなく、「浮浪者から逃げられなかったトラウマ」に対しての、異常なまでの【俊足願望】のあらわれです。この願望は、特殊能力覚醒後に【スキル:いだてん(かかとジェット)】で実現することとなりました。良かったね。

(^O^)

もう一つは【金属執着】。これも襲ってきた浮浪者の持っていた金属棒が原因です。普通は嫌な体験の原因となるモノは避ける傾向にありますが(この場合では金属が嫌いになるなど)、浮浪者の【とどめの一撃寸止め】が、特殊な事例を生み出しました。少年はなぜ浮浪者が殴打をやめてくれたのか、理由を理解できません。この寸止めによって、少年を痛めつけたモノが金属棒だったが、命を救ったモノも金属棒という変な図式が成り立ってしまったのです。それにより、金属棒が「何だか命を救ってくれた強固でカッコいいモノ」と認識され、以降の【金属執着】へと結びつくのです。

「やつ」のトラウマは、この【俊足願望】と【金属執着】を肥大させて、まともな生活と精神状態をじょじょに逸脱させてゆきました。中学卒業後、陸上選手になるための手順は一切踏まず、なぜか一人暮らしをし、鋳造工場で働き始めます。工場で出た鉄くずや、工場の外からも鉄線や廃品をかき集め自宅に格納していきました。この金属収集は、【俊足願望】を実現するために、自身への身体改造を行うことが目的でした。「体内に金属を埋め込むと細胞と同化して強靭な肉体が完成するはず」という間違った妄想を原動力に。

「やつ」は、何年も金属を収集していましたが、なかなか理想のパーツを揃えることができませんでした。ところがある日、理想にぴったりの金属棒を入手しました。「よし!こいつで決行してやろう!」と、期待と不安でドキドキしながら自宅へ向かうシーンがこの映画の冒頭です。一見気だるそうに歩いていますが、洗濯物干しをパーンと手で叩くなど「これから長年待ち望んだ身体改造に着手すんぜ!」というテンションの高さが垣間見えます。

この時、最初に太ももに埋め込んだ理想の金属棒が、奇しくも「謎の浮浪者」が「やつ少年」を殴打した時の金属棒とそっくりだったのです。

さて、話は進んでエクストリーム鬼ごっこ(この言い方すげぇ気に入っちゃったよ!)シーンになります。「やつ」は、逃げる「男」を超スピードで追いかけまわします。【俊足願望】も実現できて、最高にハイな状態です。しかし、ここでフラッシュバックが発生しちゃいます。

「謎の浮浪者」に追い回された記憶が、逆に「男」を追い回すこと(類似逆体験)によって、よみがえってしまったのです。ちょっぴりマヌケさんです。このフラッシュバックに苦しめられ、「やつ」はコースアウトしてしまいます。でも、そこであきらめず、なんとかトラウマを乗り越えて「男」に追いつきます。頑張ったね、よしよし。

( ;∀;)

 

ここまで読んでもらえればわかると思いますが、この「鉄男」という物語の元凶が「謎の浮浪者」なのです! ここから全てが始まっているのです!

 

 

もう一つ重要な謎があります。

「やつ」は自分を轢き殺した「男」を恨んでいるはずなのに、対峙するとなぜか「さあ来い!」とあおります。「眼鏡の女」遠隔操作の時も言っていたし、すぐに復讐を行えばいいのに、そうせずに何度もあおります。なぜか?

「やつ」は、一方的な蹂躙を良しとせず、「男」が全力で歯向かってくるところを打ちのめしたいという謎の願望を持っている…。鉄男2では「憎悪パワーを増幅させるため」という理由がありますが、この「鉄男1」では一切語られません。

これも「浮浪者トラウマ」が原因ではないかと考えます。幼少期に為す術なく殴打され続けたことがトラウマになり、逆に【無抵抗の相手を攻撃できない】体質になってしまったのではないでしょうか。無抵抗の相手を一方的に攻撃すると、フラッシュバックしてしまうことを本能的に感じていたとか…。

「追い回し」も同じ理由でやらなきゃよかったのですが、これは【轢き殺し遺棄への復讐心】が勝ってしまったということでしょう。(ちょっと無理があるかな?)

 

 

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「やつ」の能力解析

 

「やつ」さんは、「男」に車で轢かれて、金属片が脳に芸術的な刺さり方をしたおかげで、特殊能力が覚醒します。すごく多彩な能力なので整理して紹介します。(ここはおふざけなので流してもOK)

スキル名 能力・特徴
いだてん(かかとジェット) かかとからジェット噴射が出て超スピードで移動できる。「男」も同じスキルを使える。2019年NHKで、このスキル能力を開発した男の話が大河ドラマとして放送されるとかされないとか。
エクストリーム握力測定 左手のこぶしを勢いよく握ると、自分が感じた同じ苦痛を相手にも与えることができる。連続使用可。映画では主に自動車事故時の痛みを「男」にこれで投げつけている。
エクストリーム血圧測定 左手のこぶしを勢いよく握ると、周囲の鉄に衝撃を与えて操作できる。連続使用できるが、やりすぎると使えなくなる。
ハーミットパープル 自身が見た風景などを、ブラウン管などに映し出しことができる。遠隔利用可。電源がなくてもブラウン管などがあれば映写可能。
サイコチャッカガン 左手が火炎放射器になる。人に向けて放射したら危険。
メタリカ 「やつ」の基本能力。磁力を自由にあやつることができる。金属を引き寄せたり、融合させたり、人体の鉄分に干渉し人(動物)を操ることもできる。「眼鏡の女」や死んだ「女」は、この能力で操られた。イタリアンマフィアの中に、同じ能力を使える暗殺者がいるとかいないとか。
パイツァーダスト 自分の命が危険にさらされた時、自身の分身(30㎝くらいの金属の塊)を生成する。それに触れた人間に寄生して意のままに操り、最終的にはなりかわることができる。映画の中では、男に轢かれた時に発動(40:44のところ)。そのまま「眼鏡の女」に寄生する。寄生した瞬間、偶然隣に復讐相手の「男」がいて強襲したが、まだ寄生がうまくなじんでいなかったため返り討ちに合う。
鉄ポーテーション 自分が触れている金属の先のどこへでも移動できる。金属として溶けながら移動するため、途中が狭い隙間でも問題ないが、移動先に自身の物質量以上のモノがなければならない。映画では「女」の死体を媒介として、家の外から中へ侵入した。
みんなのうらみ 人体で金属がだんだん増殖していくという「呪い」を飛ばすことができる。除念不可能。映画では「パイツァーダスト」と同時にこのスキルを発動し「男」へ飛ばした。

 

 

 

名セリフ

名セリフを2つご紹介。

 

「…ちょっと、よく見してみ? …たいがいの事には…驚かないから」

醜い鉄の怪人と化しまい、風呂場へ逃げ込んだ「男」に対して恋人の「女」が言ったせりふ。「見せたくない」と嫌がる「男」に向かって3~4回同じことを言います。で、「男」が顔を見せた瞬間、絶叫しまくりで驚きます。はい、ここは笑うところですよーー!

(* ´艸`)クスクス

 

 

「やーりーまーくーるーぞぉー!!!」

ラスト、「男」と融合した「やつ」が、世界をぶっ壊しに行く時の最後のせりふ。二人の融合した姿は、巨大な、いきり立った男根を模しています。普通の住宅街に4メートル?くらいのそそり立ったチ○コが「世界ぶっ壊す!」って叫んでいます。超シュールで逆に笑えちゃいますが、「愛」によって「世界を破壊しようとするモノ」が、命を比喩する「男性器」であるところが、なんとも皮肉であり、かつ非凡さを感じさせるポイントでしょう。

 

 

音楽:石川忠というミラクルマッチング

はい、あとこの映画の何が良いって言ったら、音響と音楽でしょう。

 

お…音カッケエエエエエッ!!!

インダストリアル好きには悶絶級です。

音楽担当の石川忠(いしかわちゅう)さんは、日本インダストリアルミュージックの草分け的存在で、「ZEITLICH VERGELTER(ツアイトリッヒ・ベルゲルター)」等のバンド活動で、まさしく金属音を主体としたメタルパーカッションサウンドを展開しておりました。

「この人以外に誰が鉄男のサントラ作れるのか?」というほど奇跡的なベストスタッフィングです。「なんでも自分でやらなければ気が済まない」派の塚本晋也監督が、音楽パートだけは唯一他人にまかせたパートであることからも、その素晴らしさは理解できるでしょう。以降、塚本晋也監督作品の音楽には、石川忠サウンドが欠かせない存在となりました。

 

しかし、非常に残念ながら石川忠さんは、2017年お亡くなりになられました。黙祷。

楽曲としてもレベルの高い、鉄男シリーズのサントラ音源は、探せばまだいろいろ手に入りますので、興味を持たれた方はぜひお買い求めください。

 

まとめ

 

かっこつけて専門誌風にまとめてみます。

「鉄男」は、1970年代のスロッビング・グリッスルに端を発するインダストリアルカルチャーの、重要な系譜であり、ブーストコンテンツであることは疑いの余地はなく、世界中に「メタルフェチ」を増殖させたアンダーグラウンド映画の傑作でしょう。

 

(うぅ…まだ終わりたくないよう…)

(*‘∀‘)

改めてこの映画を見直して、2つのことを思いました。

 

「やつ=塚本晋也監督」が壊したかったものとは何か?

いろいろなモノがあてはまりそうな気がしますが、一つは【同性愛偏見】でしょうか? それも、ゲイ寄りの視点で。トモロヲさんの逆アナル悪夢や、最後の2人の融合シーンなどにより、そんな印象を受けます。

思い返せば、藤原京さんの逆アナルダンスで女性のフォルムを醜悪に見せようとしていたり、トモロヲさんが差し出す食べ物やフォークを藤原京さんがエロティックに舐る時に、耳障りな金属音を発生させたりと、女性を「不快なもの」として演出している点もそれに関連しているかもしれません。

あ、そういえば「眼鏡の女」が、トモロヲさんを追い詰めた時に、自分の乳房をなぜか自傷してましたね。乗っ取っていた「やつ」の仕業ですが、これも「乳房という女性の象徴の否定(ゲイの嫉妬)」って思えてきましたよ。

 

……ん、この考察は当たりかもしれません!

実は「やつ」は、「男」が好きだったのではないでしょうか? 自動車に轢かれた時、「男」に対して恨みではなく、【一目惚れ】してしまったのです!

ほら、よくマンガとかでありますよね、登校中にぶつかった転校生に一目惚れしちゃって恋がはじまる、的なアレですよ!

いや、マジで、そうだとしたらつじつまが合うところがいくつかあります。

 

●「全身が金属化して死ぬ呪い(スキル:みんなのうらみ)」を発動できたので、復讐するだけならほうっておけばいいのに、「やつ」は「男」を執拗に追いかける……好きだから。

 

●「やつ」は、「男」に追いついて対峙したら、恨みを晴らすでもなく「さぁ来ぉい!」とあおる。「さぁ(ゲイの世界へ)来ぉい!」と誘っている……好きだから。

 

●十分に金属化してしまった「男」に対して「素晴らしい!」と言う。二人だけが共有できる「金属と融合した肉体」という共通点ができたことが嬉しい……好きだから。

 

●最後の融合前、錆化を促進させて自殺しようとする「男」に対してひどく焦る……好きだから。

 

●「僕は…あなたの全部を知ってる…だから…あなたは僕から逃げられない」……ストーカー宣言。

 

●「死ねェエエ!! 鋼鉄のケダモノォォ!! ワハハハハハハハハハ!!」……好きの裏返し。

 

●最後の融合前、「男」の方が「やつ」より優位に立っていたっぽいのに、融合体になったら「やつ」の方が上位になっていた……「やつ」がタチで、「男」がネコだから! 実際に「男」は、2匹ネコ飼っていたしね!

 

いやすげぇ、まさに今気づきましたよ!

「鉄男」は、B級ホラー映画ではなく、

BLホラー映画

だったんですよ、奥さん!

 

 

…んなわきゃぁない。

 

 

…とも言い切れない。

(「やつ」は、「謎の浮浪者」から実は性的暴行も受けていて、それがきっかけでゲイになっていたのだとしたら、この説のつじつまがなお合ってしまう……そうだとしたら石橋蓮司が鬼畜すぎ…)

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

インターネット社会の予言

もう一つ、【金属が体を侵食する】という画期的なアイデアからこの映画は創り上げられていますが、このことが、『今日のネット社会を予言するもの』だとしたら、面白くないですか?

鉄男が生まれた1980年代後半は、まだ携帯電話なんかぜんぜん普及してなくて、インターネットもごく限られた機関内でしか使われてなく、誰も知りませんでした。

ブレードランナーなどでサイバーパンクが市民権を得、テクノロジー発展の期待と不安をみんなが意識し始めたこの頃、【金属侵食】という鉄男の着想は、従来の「ロボット(コンピューター)が暴走してしまう=想定外のエラー・事故」による恐怖とは、ちょっと違う気がします。人(「やつ」)の意思で、意図的に世界を塗り替えようとしている点です。

まったく新しい価値観で既存社会が崩壊(変革)する、金属を介して融合する人、という構図……「やつ」が思い描いていた【NEW WORLD】というものは、まさに今、世界中がネットワークに覆われ便利になった社会、人と人がとても(仮想的に)近く繋がりやすくなった現代社会にとても似ているような気がします。 (コマ撮りで金属線がぐにゅぐにゅ暴れるシーンが何度もありますが=増え続けるネットワークケーブルともとれる)

そしてこの「今」は、偶発的に形成されたものではなく、どこかの誰かの意思でここまで変化してきたのです。

これを読んでいるあなたも、だいぶスマホ・インターネットに侵食されてますよね?

 

 

…とまぁ、こんな感想が次々と湧き出てくるほど、この「鉄男」は、単なる「B級ホラー」にとどまらない何かを感じさせるのです。ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ(1989年)受賞も納得の作品です。

それにひきかえ、もっと予算かけているのに、「はぁ…そうですか…」で終わってしまう映画の何と多いことか!

この間レンタルで見た、○○○○○なんて………<自粛>

 

最後に、みなさん、他のホラー映画は嫌いでも、「鉄男」だけは嫌いにならないでください!

 

 

■トラウマポイント

・誰が何と言おうと石橋蓮司「謎の浮浪者」です。「やつ少年」に殴り掛かる前に、いったん壁の方へ走って「カンカンカン」と金属棒で壁をなぞります。そのままの勢いで「やつ少年」に全力で殴りかかります。誰だ?この怖い演出考えたのは! 石橋蓮司さんのアドリブか? 塚本晋也監督の演出か? ここが超コワくて夜しか寝れません!

tetsuo

・次点でチ○コドリル貫通時の藤原京さんの無表情。

・あと血とか汗とか絶叫とか全体的にグロキモい。でもモノクロだからちょっと安心。

 

 

 

シリーズ化

この後、

●鉄男II BODY HAMMER (1992年公開)

●鉄男 THE BULLET MAN (2010年公開)

と、シリーズ作品が公開されていますが、ストーリーは繋がっていません。それぞれ単体で楽しめます。映像がカラーになって、話もだいぶわかりやすくなりますが、その分、1作目のような「何だこりゃ?」感は若干薄れてしまいます。が、おすすめです。

 

鉄男Ⅱ 公式トレーラー

鉄男Ⅱ BODY HAMMER TETSUOⅡ THE BODY HAMMER

 

■映画「鉄男 THE BULLET MAN」 予告編

映画『鉄男 THE BULLET MAN』予告編

いやぁ、もう、まだまだいろいろ語りたいことがあるんですが、1万字もとうに越えてしまったので今日はここまで!