【日本ホラー映画】全編「劇メーション」で制作された古くて新しい『バイオレンスボイジャー/宇治茶監督』は超得もい

【日本ホラー映画】全編「劇メーション」で制作された古くて新しい『バイオレンスボイジャー/宇治茶監督』は超得もい

いつもお世話になっております。

ミシリー岡田です。

人間機械」以来、半年ぶりくらいで映画館で映画見てきましたのでご報告します。京都出身「宇治茶監督」の全編「劇メーション」という手法で作られたホラー(?)映画「バイオレスボイジャー」です。

 

一部ネタバレ交えて紹介しますので、気にされる方はご離脱ください。

※ゴリ脱…剛毛の方の脱毛行為、通称ゴリラ脱毛の略。

※脱ゴリ…筋肉質系女子がダイエットなどをしてスリムになること。

 

 

バイオレンスボイジャー基本情報

 

●2018年公開 日本映画 84分

●監督・脚本・作画・撮影・編集:宇治茶(1986年生まれ)

●絵を物理的に動かして撮影する「劇メーション」という手法

●日本の山村が舞台(現代)

●PG12

 

予告編です。

「バイオレンス・ボイジャー」予告編

 

■公式サイト

 

■あらすじ

日本の山奥の村で暮らすボビーは、金髪マッシュルームカットが目を引く8歳のアメリカ人少年だ。ある日、親友のあっくんとともに隣の村をめざして村はずれの山にやってきた彼は、〈体感型アトラクション バイオレンス・ボイジャー〉と記された看板に好奇心を刺激され、その不気味な娯楽施設に足を踏み入れていく。ところが施設の運営者である中年男、古池は、地元の子供たちを生け捕りにし、ロボットのように変わり果てた息子の食べ物にするという悪魔的な所業を繰り返していた。施設内に閉じ込められたボビーは、そこでめぐり合った薄幸の少女、時子を救出するため捨て身の闘いに身を投じるが、その行く手には想像を絶する運命が待ち受けていた……。

引用:バイオレンスボイジャー公式サイト

そう、あの探偵ナイトスクープでやってる「パラダイス企画」的なヤツが舞台ですよ。

(*’▽’)

 

この映画のみどころ

 

最近の映画ってCGがすごいですよね。でも「すごいCG=すごい映画」ではないんですよね。確かにCGってすごいんですが、そういうビジュアルが当たり前になってきて、もう慣れちゃったんですね(人って贅沢)。

アニメーションもデジタル化や3DCG技術がどんどん取り入れられている現代において、この「バイオレンスボイジャー」は、切り抜いた絵を物理的に動かして撮影する「劇メーション」という手法で作られています。

紙芝居と人形劇を合わせたようなイメージでしょうか。とても手間のかかる作業ですが、いわゆるセル画タイプのアニメーションを作るよりは簡単なのかなと思います。1976年テレビアニメとして放映された楳図かずお先生原作の「妖怪伝猫目小僧」という作品がこの手法で制作されていたそうですが、以後この手法は消えてゆく運命となりました。

2019年の今、このゲキメーションという手法にはじめてしっかり触れた気がしましたが、新鮮です。監督自身が描くキャラクターのインパクトのせいもありますが、筆のタッチが生きた手書きの荒々しさが動く(動いているように見える)という映像は、逆に斬新です。

声優さんが良かったりしたので、けっこう序盤から「劇メ」を見ているという意識はなくなり、私は実写映画見ている感覚になっちゃうほどでした。例えば劇中で、古池さんが逃げたボビーを探し、手術台の下を「ここかなっ!」とバッと覗くシーンのスピード感たるや!……ガクブルです……

 

 

こんな人におすすめ

 

一つネタバレします。

いいですか?

引き返すならまだ間に合いますよ。

覚悟を決めたようですね。

それではお話しましょう。

 

このバイボ(バイオレンスボイジャーの略)、「全世界ガクブル」なんてキャッチコピーを謳いながら、実際のところ……笑わせにきてます。いや、怖いところもありますけどね。はじめは「いろいろ真剣に考えすぎて、結果ちょっとおかしくなっちゃった」的な、笑っちゃいけないモノと思い込んでいましたが……確信犯でした。見事に裏切られました!「ギャー」ってなるシーンより「フフッ」ってなった回数の方が多かった気がします。

シュールな展開や、絵面、せりふ、などなど突っ込みどころ満載なので、もう映画のキャッチコピーを、

「1分に1回ツっこめる」

にしても良いかと思われます。

ピューと吹く!ジャガー」のピヨ彦さんがこの映画見たら、もう大忙しですよ。

↓イメージ

バイオレンスボイジャーツッコミどころ
ツッコミどころが多すぎてピヨ彦さん大忙しの図1

 

もういっちょ

バイオレンスボイジャーツッコミどころ
ツッコミどころが多すぎてピヨ彦さん大忙しの図2

 

なので、お笑い芸人を目指しているツッコミ担当の方におすすめです。たぶん頑張れば隙間なくずーっとツッコめるので、同期の人と何個ツッコめるか競うと良いでしょう。

そうそう、制作・配給が吉本興業なので、NSC(お笑い・芸能養成所)の教材にしたら良いと思いますよ。

(・∀・)

 

この映画を見て思ったこと

 

20歳になったからとかではなく、いつしかみんな自然に大人になり、常識や限界や妥協を知り、純な発想力は薄れ、カチカチ頭になっていく人が多いでしょう。私も含め。「ツッコミどころ満載」と感じるということは、言い換えれば「物事はこうあるべき」という固定観念が強くなりすぎてしまった、ということではないでしょうか。すなわちツッコミの数だけ、子供が思いつくような純で自由な発想がこの【バイボ】にはある、とも言える気がします。

最近、映画に限らずマンガでも、荒唐無稽さを感じさせない、練り込まれた設定のコンテンツが多い気がします。いや、設定がしっかりしているというのは良いことですけどね。「ツッコミどころをなるべく減らそう」という風潮が蔓延している(?)今だからこそ、この【バイボ】の自由奔放さが光って見えるのかな、と感じました。

手からビームが出たっていいじゃない!(ボビー)

ネコジャラシ理論で脱出してもいいじゃない!(モンゴルマン)

四肢爆散しても、くっつけたらもとどうりでいいじゃない!(ミートくん)

 

でね、この世界観はね、宇治茶監督一人で制作しきれたからできたんだと思いますよ。脚本家とか演出家とかいろんな大人が関わっていたら、たぶんこの空気感は実現していなかったことでしょうね。そんな環境も含めて貴重な映画だと思いますし、現代子供向けコンテンツの隙のなさに警鐘を鳴らす意義深な一本と言ってもNO過言でしょう。

※説明のつけられないアイデアが抹消されてしまって、表現の幅が狭まってしまう危機感のことを岡田さんは言っています。

 

まとめ

 

この映画を一言で表すなら【得も言われぬ映画】略して【得もい映画】でしょうか。

手法は劇メーションというレトロな手法ですが、話は現代的。ホラーだと思ったら笑わされる、逆にコメディーだと思って観たら十分な怖さに慄くでしょう。何かメッセージ性がありそうでない、特にメッセージなんてないよと思わせつつ実はある。この捉えどころのなさ、宇治茶監督の脳内の妄想やイメージをフィルターかけずに覗いたような感覚……まさに「得も言われぬ」です。

そしてこのことは、名称を置き去りにする程の【新しさ】と同義です。技法もテーマも展開もやりつくされた感のある現代において、味わったことのない新しい感覚を体験できるなんて、まだまだこれからの楽しみがヤバみでパなみです。

ちなみに、怖いところは怖い、グロいところはしっかりグロいのでご安心を。大人が(^ー^* )フフッ♪ってなるところも、子供が見たらちゃんとトラウマるでしょう。

 

おまけ情報

京都シネマに行って見てきました。バイボは7/5まで!

京都シネマ外観
京都シネマ:地下鉄四条駅、緑の唐草模様の建物

 

ちょうど公開初日で舞台挨拶もありました!(というかそれ狙って行きました)宇治茶監督は、ぱっと見シュッとした好青年感があり、映画の狂気感とのギャップがオツな、イケなメンでした。

舞台挨拶
190615舞台挨拶

劇中の「キョウコ」役の声優さん、Bugって花井さんが、たいそうなメガマウス推しだそうで、そのビジュアルが濃いため、相対的に監督が若干薄~くなっちゃってましたw

 

 

勝手にマリアージュ

この映画に合う曲、というものではありませんが、この映画を見てぱっと思い付いた曲です。「得体の知れないものに追いかけられる感」「夏の終わり感」が、とてもリンクしました。

Vampiliaさんのendless summer

Vampillia – endless summer

※なにげにこのPVもトラウマPVです。

■vampillia公式サイト

 

 

合わせて読みたい

宇治茶監督の前作、2013年公開「燃える仏像人間」、こっちも劇メーション(一部実写)で超面白そうです。こっちの方がワケワカラン度が高いとのこと。

まだ見てないけど、いずれ見ます!

■燃える仏像人間<予告編>

映画『燃える仏像人間』予告編

 

■「燃仏」公式サイト

 

<6月19日追記>

うっはああああああ!!

記事公開してすぐ宇治茶監督ご本人様に読んでもらっちゃった!!

嬉しすぎておしっこ漏れちゃう!!

SNSってすごごいね!!

恐縮ですっ!!

そしてはずかチィ~! 穴があったら入れたいデス

(/ω\)

<追記終わり>

 

<7月10日追記>

大分県(別府ブルーバード劇場:終了)や愛知県(伏見ミリオン座:7/20~7/26)、神奈川県(シネマ・ジャック&ベティ:7/13~7/19)で上映が決まりました。じわりとバイボワールドが広がっています。お近くのかたはぜひ劇場で!上映劇場情報

街で見かけた「たかしちゃん」
街で見かけた「たかしちゃん」

<追記終わり>

 

おしまい

 

「良い子は早く離脱して寝ないとバイオレンスボイジャーへ連れてくよ!」


※個人の感想です。

※「名称を置き去りにする程の新しさ」という言い回しは、村上龍さんの文章から拝借させていただきました。